官能小説・エロ小説(約 3 分で読了)
祇園祭の長い夕暮れ
投稿:2026-08-19 05:44:39
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大学のある百万遍から三条京阪までは、四十分もかかった。
雨が降りそうなうえ、祇園祭の宵山とあって、京都の街は人で溢れかえっていた。バスが停まるたびに人が乗り込み、背の高い私は、駅に着く頃には汗でびしょびしょになった。
このままでは遅刻しそうだし、空模様もかなり怪しい。
目の前に来た電車に飛び乗り、御陵駅で降りたときには、もう今にも泣き出しそうな天気になっていた。大股で走り、家庭教師先の家に急いだ。
「こんにちは」
玄関を開けると、エアコンが効いていて、汗で濡れた体に冷気が少し沁みた。
いつものように裕君のお母さんに案内されたが、今日は短いスカートで先を歩く。階段を昇るお母さんの真っ白な脚に、思わず目が留まった。
「先生、今日はうちの子、まだ帰ってきてないんです」
そう言って、お母さんは二階の奥の部屋へ私を連れて行った。そこは普段裕君を教えている部屋とは別の、和室だった。外がまだ明るいせいか、電気が一つしかついておらず、部屋はやけに薄暗い。
お母さんが去ったあと、やることもなくしばらく待っていると、遠くで雷が鳴り始めた。
「いややわぁ……先生、まだ電話もかかってきません。どうしましょう」
襖の向こうから、裕君のお母さんの声が聞こえてくる。身長は165センチと女性にしては大柄。裕君が「三十ちょい」と言っていた。
カサ、カサ、カサ。襖の向こうで、布が擦れる音がする。雨音が一気に激しくなり、雷鳴と稲光のせいで電気が一瞬消えたりもした。少し経つと、襖が静かに開き、隣の部屋にいたはずのお母さんが顔を出した。
「先生、お茶を」
そう言って入ってきた姿に、思わず息を呑んだ。深いえくぼはそのままだが、さっきまでの短いスカート姿とは明らかに違う。淡い黄色の着物姿だった。
――えっ。心の中で、叫び声のようなものが弾けた。
部屋の空気が一瞬で変わった。雨音に混じって、雷がさらに近くに響いたように感じた。
「先生、どうします?あの子、何にも連絡がないから」
確かに、雨も激しくなるばかりで、しばらくは止みそうもない。そのとき、近くに落ちたような雷の音に、「きゃあ」とお母さんが肩をすくめた。それがおかしくて、二人で少し笑ったが、張り詰めた空気は変わらない。
「裕君、雨が止むのを待ってるんでしょう。止んでも帰ってこなかったら、そのとき考えます」
お母さんとこうして向かい合っていても、普段はほとんど話すことがなく、会話が弾むわけでもない。
狭い、薄暗い部屋に女性と二人だけになり、いつの間にか着替えた着物姿と、ちらりと見えるうなじの白さだけで、息が詰まりそうになった。
言葉が途切れ、お母さんが席を立とうとした。その瞬間、正座していたせいか、体がふらつく。
「えっ」
それを見た私が、変な声を漏らしてしまった。少し振り向いた彼女は、私を見て笑った。
「ちょっと……わたし、熱っぽくって」
そう言って右手を頬に当てる仕草が絵画のように見え息をのんだ。思わず私は自分の額に手をやり、足を崩し、彼女に近寄ろうとした。
だが、突然、動き始めたため、少し足がしびれている。私の体は前のめりに崩れそうになった。
お母さんは倒れかけた私を支えようとしてくれた。私は、踏みとどまるのではなく、そこが着地点のように、そのままうつぶせ気味に彼女の膝のあたりに倒れ込んだ。
お母さんの手は私を支えるのではなく、引き入れるようになった。顔を少し上げると、彼女の着物の裾と、畳に直接触れた白い足袋と素足の境目がすぐ近くにあった。
膝の上にいる私に、彼女は「大丈夫?」と小さな声をかけた。
薄暗い暗闇の中で彼女の体温と、ほのかに香る石鹸と着物の生地の匂いが急に濃くなる。
「熱っぽいって……先生のほうが熱いかも」
と、囁いたのが聞こえた。
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