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体験談(約 31 分で読了)

ありふれた幸せな夫婦が狂っていっただけの話①(4/4ページ目)

投稿:2025-06-12 17:46:19

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本文(4/4ページ目)

もう元嫁ではなくなったのだ。

俺はポケットの中から小箱を取り出す。

中には5年前に突き返された結婚指輪が入っている。

俺はそれを嫁の左手の薬指に嵌める。

元々ここに有るべ存在だ。

パズルのピースが合うかの様にピッタリと収まる結婚指輪。

「愛してるよ…美咲…」

「嬉しい…♡」

「美咲は?俺の事?」

「まだ…愛しては無いかな…♡」

そう言って俺の手を握ってくる愛しい嫁。

結婚して初めての夫婦の儀式…それは嫁が欲して止まない事…堕胎手術。

それは俺にとっては穢らわしい存在でしかない。温々と愛する嫁の中で安寧を貪る異物を取り除く手術。

「知り合いの医者の紹介で予約をしてあるから…」

「うふふ…楽しみ…貴方も現場に立ち会えるんでしょ?」

「あぁ…色々と法的にヤバいから口外は無用だけどな…」

「今さら法律?私は法律なんて気にしないわよ?」

「変わったね…前は黄色信号で渡っただけで怒るくらいルールやマナーに厳しかったのに…」

「あのね…教えてあげる♡悪い事の方が気持ち良い事が多いんだよ?悪ければ悪いほど、その行為の背徳感が上がるの♡」

軽やかな足取りで、車のクラクションの中赤信号を平然と渡る嫁。

「ちょっと危ないよ!」

嫁の大胆な行為に焦って手を握る。

「スリル有ったでしょ?ね?これからもっともっと悪い事しましょう?人の道徳から外れて気持ち良い事だけ♡ね?」

「なら…先ずは…」

「そう堕胎♡気持ち良いんだよ?痛くて痛くて…♡でも、そのご褒美に何倍も中が気持ち良く感じやすくなるの♡子宮に触れられるだけで脳内に麻薬物質がドクドク分泌されて気持ち良くなるのぉ♡」

堕胎という痛みを伴う行為に、脳が自己防衛で麻薬物質を強烈に分泌する。

俺の嫁の場合、始めは屑に孕まされ経済的な理由で泣く泣く堕胎をさせられた。

最初は産みたくて…産みたくて仕方なかった。初めての堕胎手術は痛くて辛くて我が子への思いも断ち切られ絶望したそうだ。

しかし、堕胎を経験する度にセックスの快感が数段上がっている事に気が付いた。

もう堕胎なんて…との思いも始めは有ったのに、セックスは止められない。生セックスの妊娠するかも…という恐怖とスリル、背徳感に精神は興奮し、肉体は開発され敏感になっていった。

もう避妊有りのセックスでは感じなくなっていたそうだ。

そして2回目の堕胎で完全に開発され、目覚めた嫁。

3回目以降は喜んで堕胎を受け入れる様になった。それに伴って子供への愛情や執着が全く無くなったそうだ。

母性を完全に失って女に…雌に目覚めた俺の嫁。

キスから始め少しずつ少しずつ嫁の倫理観を削ぎ落とし不倫セックスへと貶めた様に、不倫から妊娠、間男の子供を出産、複数の堕胎…風俗堕ちと…嫁の倫理観や良識を、あの屑は全て削ぎ落とし快楽だけを純粋に求める雌へと変化させた。

今の嫁にとって妊娠も堕胎も快楽を得る為の術の一つに過ぎないのだ。

「今回の手術…君が喜ぶ様に麻酔無しで施術して貰える様に頼んでるから…」

目を輝かせて俺を見つめる嫁。

「え?本当!?嬉しい♡」

美しい黒髪が風にたなびいている。

誰が見ても、清楚で優しそうな女性にしか見えない嫁。そんな嫁の姿に思わず見惚れてしまう。

穏やかな晴天の日の午後。新緑が眩しく夏の訪れを予感させる。

心地よい風に身を翻して、俺に無邪気に微笑む嫁。

しかし、その正体は性と快楽に貪欲な獣。

そんな嫁でも構わない。5年間の孤独は俺も狂わせた。過去の嫁を求めても、もう彼女は存在しないのだ。今いる現実の嫁に相応しい男であるしか俺に選択肢はないのだ。

他人は俺達の本質を知れば後ろ指を指すだろう。批判し軽蔑するだろう。

俺も、俺達夫婦の姿が健全で正しい夫婦の在り方だとは1ミリも思っていない。

快楽と欲求の前に理性とモラルは屈服した。人として許されない堕落し醜い生き方なのかも知れない。

俺が死んだ後、地獄という物が有るのならそこに堕ちるのだろう。

しかし、真の地獄とは俺にとっては嫁がいない人生なのだ。

こんな事になったのは全てあの屑のせいだ!…と言い逃れするつもりもない。

彼女を俺の物にすると決めたのは俺の自由意思だ。科学的、哲学的思考で自由意思は存在しないという学者もいる。

しかし、俺の持つ嫁を愛している…という意思は何物にも邪魔される事は無く一度足りとも揺るがなかった自由意思だ。

俺のこの想いと嫁の想いが同じだとは思っていない。悲しい事だが、本当の嫁の心は俺を愛していないのだろう。

再会してから、嫁は俺の事を好き…とは言うが、決して愛しているとは一言も言う事は無かった。

もしかすると彼女は人を愛するという心をも、脳が作り出す肉欲の快楽の前に捨て去ったのかも知れない。

それでも構わない。彼女が側に居てくれるだけで満足なのだ。

もう二度と愛する嫁が他の男とセックスをしている所を想像して心を抉られたくは無い。

どんなに汚れても、どんなに悪辣な手を使っても、もう二度と彼女を俺の元から離さないと心に誓った。

しかし、俺の想いとは裏腹に一度狂った歯車は、その動きを決して止める事無く更に激しく狂ったまま回転し続ける。

そして俺に関わる者全てを激しく傷付け破壊していくのだった。

-----------続く----------

-終わり-
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