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体験談(約 20 分で読了)

【評価が高め】ハロワで出逢った職員に童貞ニートが片思いした話⑭(1/3ページ目)

投稿:2024-12-03 18:49:54

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本文(1/3ページ目)

ゆうすけ◆M5hRMkk
最初の話

俺「コレお願いします…」#ブルードキドキしながら求人ファイルを差し出す。俺は無職ニートの31歳。名前は「裕介」#ブルー子供の頃から学校カースト最下位だった俺は見事に不登校からのニートのコンボを食らってしまった。実質中卒。一応、家族の助けもあって定時制を卒業して高卒扱い。中学は保健室に数回…

前回の話

…裕介です。さくらさんの容体が悪化した。今は意識が無いらしい。感染症からの腎盂炎…それで急性腎不全を発症し慢性化した。透析が必要な程な悪化し、この先回復しても一生透析が必要らしい…。俺「何で…何でさくらさんばっかり…」#ブルー部外者の俺は病室にいるさくらさんとの面会も叶わない。弟…

…裕介です。

今回、最終話になります。俺とさくらさんの関係…どうなるか…少し長くなりますが最後までお付き合い下さるとありがたいです。

さくらさんの手術が無事に成功した。

このまま回復すれば透析生活を送らなくて済む。親族でなくても倫理委員会とやらの審査に通れば可能だった。さくらさんと提供者の関係や、事情を考慮してくれた事が幸いだった。そして一番は彼が事前に手配していた移植コーディネーターの尽力であり、これには頭が下がった。

想いや勢いばかりで、行動が伴ってなかった俺とは大違いだった。

さくらさんの予後、暫くは免疫抑制剤と付き合わないといけないらしい。

結菜と母の方は無事に出産し、今は子育てに奮闘中だ。2人とも元気な女の子を産んだ。

母と俺は…父に全てを打ち明けた。

俺は父に殺されても、母は離婚されても仕方ないと覚悟していた。

しかし、父は全て知っていた…。祖父の自分勝手な肉欲から始まった母の不倫…全てを知っていて耐え忍んでいた。

醜い容姿に産まれた自分が全て悪い…こんな醜い自分と結婚してくれた母に逆に感謝し、更には俺を産んでくれた事を感謝すらしていた。

そして、俺に対しては、自分のせいで醜い姿に産まれた事を謝罪された。

豪快で強くて働き者だと思っていた親父が俺と同じ劣等感を常に持ち、自分を卑下して生きてきた事に気付き、俺達がして来た事の愚かさを痛感した。

母は、今は父に一生を掛けて償い、最後まで添い遂げる事を誓い、産まれた子供を父との子供として育てている。

親父は初めての女の赤ちゃんにデレデレだ。自分の子供でなくても最大限の優しさで向き合っている。この優しさと包容力…懐の広さを見習わないといけないと痛感した。

俺も過去の過ちを償うべく、必死に働いた。もちろんコミュ症の俺には辛い事の方が多かったが挫けず頑張り続けた。

もちろん、さくらさんに対しても逃げる事無く、時間が有れば必ず見舞いに行った。

そして、かなりの時間は掛かったが、さくらさんが回復し、元気に退院する事が出来た。

さくら「迎えに来てくれてありがとう…車の免許取ったんだ♡」

「うん…やっぱり田舎だと車は必須だからね…まあ、何度も試験に落ちて苦労したけど…」

さくら「うふふ…ちょっと乗るの怖いなぁw」

「そう言わないでよ…せっかく朝から洗車して来たんだから…」

さくら「うふふ…冗談よ♡ありがとう♡」

助手席にさくらさんを乗せると、後席に荷物を取り込んだ。

ゆっくりとアクセルを踏み、車を発進させる。

さくら「本当…色々有ったね…」

「うん…初めはハロワで僕がオロオロしてた時だった…」

さくら「大きな身体でビクビクしてたから凄く目立って…皆ちょっと引いてたよ?」

あの日、初めて出会った日を思い出す。

さくら「大きな身体を小さく見せようと、目立たない様に必死な姿が…なんか可愛いく見えて…私の方が先に声を掛けたよね♡」

「うん…あの時…引き籠もって…初めて社会というか外に出て…不安と恐怖で一杯だった…」

さくら「でも…勇気出したんだよね…今ではこんなに立派になって…」

さくらさんの横顔…日差しでシルエットだけが横目に入る。とても整った綺麗なシルエット…。少し病み上がりで痩せてはいるが本当に綺麗だ。

髪にも艶が戻り、出会った頃と同じ位の長さまで伸びている。

さくら「もう♡脇見運転は危ないぞ♡」

チラチラと横目でさくらさんを見ている事に気付かれてしまった。

心地よい午後の明るい日差しの中、車を走らせる。

海沿いを走りキラキラ光る水面が雰囲気を高める。

「俺…もっともっと頑張るよ…」

さくら「うん…今の裕介さんなら何でも出来るよ…♡車の免許だって取れたんだから…♡」

俺には頑張らないといけない理由が有る。

多くの人に迷惑を掛けてきた。

醜い容姿のせいにして逃げてきた。

しかし、本当に醜いのは容姿ではなく、何事からも逃げ出す醜い心だった。

でも…あの日、ハロワへ脚を運んだ事で…前に進む事で、多くを得る事が出来た。

でも、失うモノも多かったのも事実だ。

だからと行って逃げ出していては何も始まる事は無かった。

目的地に着き車を停める。

母と結菜の車も先に着いている。

さくら「ここね…彼が眠ってる所…」

俺はさくらさんの手を引き、細いコンクリートの階段を登って行く。

少し高台になったここからは海が綺麗に見える。

結菜「あ!こっちだよ!お〜い」

「さくらちゃん、ゆうちゃんコッチよ〜」

2人が迎えてくれる。赤ちゃん達もベビーカーに乗って待っている。

そして少し大きくなったさくらさんの娘も一緒にいた。

さくら「こんにちは…」

結菜「退院おめでとう…元気になって良かった…」

「退院、本当におめでとう…うぅ…」

「母さん…泣いちゃダメだよ…」

さくら「2人とも…ありがとう…」

結菜「お〜い、隠れるな〜ママだぞ〜?」

さくらの娘「…」

さくら「楓花…ごめんね…今まで…」

産まれてから殆ど母親と暮らす事の出来なかったさくらさんの娘…楓花ちゃん…。

母の後ろに隠れて出てこない。

あの後、楓花はさくらさんの実家から放逐され我が家で引き取って育てていた。

さくらさんは実家から恥だとして楓花共々縁を切られてしまった。

俺達に関わったせいで彼女は大きな物を失った。

シングルマザーで出産し、夜な夜な子供を預けて男を求めて夜の街を徘徊する。

そんなさくらさんを実家は許さなかった。更に大病を患った事で完全に見捨てたのだ。

全て俺達の責任だ。彼女達だけに背負わしたく無い。

「父さんはやっぱり仕事?」

「うん…どうしても、抜けられないって…」

「優希も蒼圭ちゃんも良く寝てるね…」

俺の赤ちゃん達はスヤスヤと眠ってる。

結菜「ここまでベビーカーで上がるの大変だったんだから!」

「ご、ごめんよ…俺…まだ運転慣れてなくて」

予定の時間からはかなり遅れてしまった。制限速度を守って走るのが精一杯だった。

「皆…コッチよ…」

母に先導されて小道を歩く。

「ここよ…」

通る風が心地よい小高い丘に着いた。

さくら「ここに彼が眠ってるのね…」

さくらさんのその表情は切なくて辛そうだった。

結菜「アイツ…本当…」

結菜の目から大粒の涙が溢れる。

「ダメなお母さんでごめんね…」

大きな石の下、奴は眠っていた。

「圭介…すまない…」

俺も目頭が熱くなるのを感じた。

圭介は死んだ。あの日、電話で呼び出され俺達の前から消えた後、交通事故に遭ったのだ。

弟はさくらさんへの罪滅ぼしにと自分の腎臓が移植出来ないかと移植コーディネーターに働き掛けていた。

俺は詳しい事も何も知らずに勢いだけで腎臓を上げると言っていたがそう簡単な物ではなかった。

しかし、弟は現実的に働き掛け、あの日も、さくらさんを助ける算段を移植コーディネーターとしていた。

その帰り道、横断歩道で猫を追わえて飛び出した少女を庇って交通事故に有った。

集中治療室で俺達を待っていた奴は既に手の施しようが無かった。

幸いにも腎臓だけは無事だった。

最後に俺達家族だけが彼を看取った。

「…父さん、母さん、本当にすまない…こ、こんな事になって…」

「死ぬな!頑張れ!」

「圭介!圭介…ぇ…」

「何で!何で…お前みたいな優秀な奴が…こんな事に…俺が…俺みたいな奴が…」

「兄貴…もう…自分を卑下するのは止めてくれ…」

「うぅ…うぅ…俺は…俺は…」

「…俺は…全てが憎かった…でも…今は違う…」

「仕方ないよ…お前は…悪くない…悪いのは俺だ…」

「優しいよな…兄貴は…でも…その優しさも憎かった…弱いクセに…偉そうにって…見下していた…」

「仕方ないよ…お前は優秀だから…」

「兄貴に…最後に…頼みが…有る…」

「何でも聞くぞ!」

「さ、さくらと…む、娘を…た、頼む…」

心電図の音が弟にはもう時間が残されて無い事を伝える。

「任せろ!だからお前も頑張れ!」

「さ、さくらの…病は…俺があの世に一緒に…連れて…行く…」

「圭介ぇ…うぅ…」

「俺が死…んだら…俺…の腎臓が…さくらに移植…される…手筈…だ…」

弟の手を家族皆で握って励ます。

「負けるな…お前は、何でも出来る…!死なないでくれ…」

「ダメだ…さくらさんには俺のをあげるんだ!だからお前は生きろ!頼むよ!」

「お…俺は…さ…さくら…の中で…生き…続け…る」

心電図の音が非情にも弟の最後を告げようとしている。

「皆…今まで…ありが…とう…愛してるよ…」

「うん…私も、愛してる」

親父「おう!お前は俺の自慢の息子だ!」

「あ、ありが、とう…父さん…と、母さんのこ…子供で…本当に…良かった…」

「ごめんよ…頼むよ…死なないで…くれよ…」

「やっ…ぱり…猫は…嫌いだなぁ…、あ、兄貴…さ、最後に…伝えて…くれ…」

「いやだよ…死なないでくれよぉ…」

「ゆ、ゆ、結菜…に…あ…りがとう…って…そして…」

心電図が終わりを告げようとしている。

「さ、さくらに…本当…は…愛して…たって…」

心電図が全ての終わりを告げた。

握った手から力が完全に失われた。

俺達家族の嗚咽が響く中、弟とさくらさんの移植手術の為に手早く医療スタッフが彼を運び出した。

さくら「圭介…本当に…本当に大好きだった…」

弟の墓石の前…さくらさんの瞳から溜まっていた涙が堰を切った様に流れ落ちる。

「ごめんな…圭介…もっと向き合ってたら…もっと頼りになる兄貴だったら…お前が苦しみを打ち明けられる様な立派な兄貴だったら…」

「ごめんなさい…私が…私が…うぅ…」

結菜「圭介…あの日…間に合わなくて…ごめんね…私…圭介の妻なのに…何も知らなくて…これから…圭介の事…いっぱい知って…いっぱい…うぅ…うぅ…」

さくら「ありがとう…圭介…本当に…愛してた…」

俺はさくらさんの手を強く握りしめた。

俺達が泣いているのを不思議そうに見つめる圭介の残した楓花。

彼女が父親の死を理解するのはまだ先だろう。

「圭介…俺…お前に誓うよ…さくらさんと楓花ちゃん…二人を必ず守るって…必ず幸せにするって…」

さくら「うぅ…う…」

「だから…お前は…さくらさんの中から見守っててくれ…お前もひっくるめて、俺はさくらさんを守るから…」

さくらさんの初めても、さくらさんの愛も、さくらさんの初めての赤ちゃんも…全て俺から奪いさり、そして、さくらさんの中で生き続ける弟。

さくらさんにとって、最も特別な存在になったのは弟だ。

俺の初恋、俺の片思いは奴に全てまんまと掻っ攫われた。

しかし、そんな事はもうどうでも良い。

今、俺の横には恋焦がれた、あのさくらさんが居る。愛して愛して止まなかったさくらさんが隣に居るのだ。

「さくらさん…」

さくら「はい…裕介さん…」

「皆の前で俺…誓うよ…俺…俺…」

さくら「うん…」

「初めて会った時から、ずっとずっと好きだった…」

さくら「うん…」

「辛い事や、すれ違う事の方が、多かった…遠回りして…色々有って…綺麗な恋愛だったとは言えないかも知れない」

さくら「うん…」

「だけど…そんな事や…弟の事…全てひっくるめて…今のさくらさんが大好きだって…胸を張って言える…」

さくら「うん…」

「色んな事が…有ったからこそ…今のさくらさんを愛してるんだ!」

さくら「うん…」

「だから…俺と…俺と!結婚して下さい!!!!!」

さくらさんの涙でグシャクシャだった顔が笑顔になる。

さくら「はい…こんな私で良かったら…宜しくお願いします…」

間接照明が照らし出す2人の影。

どれだけ回り道をしてきたのだろうか。

俺の目の前には幻でも妄想でも無く、本物のさくらさんが居る。

沢山、傷ついて…沢山傷つけた。

不器用にすれ違ってきた。

ハロワで出会ってから、彼女の事を1日たりとも忘れた日は無かった。

毎日毎日、さくらさんの事を想い、さくらさんの幸せを願ってきた。

さくら「裕介さん…」

「さくらさん…」

潤んださくらさんの瞳…キラキラして優しい光が瞳の中に宿ってる。

目の前には確かにあの日、僕に手を差し伸べてくれたさくらさんの笑顔がある。

幻の様に消えてしまわないか不安な気持ちになって、そっと手を差し伸べてみる。

さくらさんの頬に触れてみる。

きめ細やかな肌の触感、優しい人肌の温かさ…確かな感触に何故か涙が溢れる。

さくら「うふ…どうしたの?…涙が出てるよ?」

頬を撫でる俺の指にも雫が伝う。

「そう言うさくらさんも泣いてるよ…」

軋むベッドの上…俺は、さくらさんと2人…涙を流している。

互いに悲しい涙は沢山…流してきた。

でも、今は違う…さくらのが居て、俺がいる。

弟が繋いでくれた、さくらさんの命…あんな事が有ったからこそ、今が有るのかも知れない。

後悔してないなんて言えない。

今でも一杯後悔してる。

でも、歩みを止めたりはしない。

俺には、さくらさんと楓花がいる。

まだ楓花は俺達に心を開いてくれない。

無責任に傷つけてしまった。

でも…必ず、笑顔にしてみせる。

弟に似てシャイで捻てるけど、心根は優しい。

想いと言葉を紡いで、心からの愛で彼女を笑顔にしてみせると弟に誓う。

さくら「何…考えてるの…?」

「もちろん…君たちの事…君たちを残してくれた弟の事…」

さくらさんが優しく微笑み返してくれる。

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