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体験談(約 12 分で読了)

【名作】両手が使えなくなった下層男子の俺と学校で人気のかわいい一軍女子との夏休み③(2/2ページ目)

投稿:2026-01-29 22:00:07

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本文(2/2ページ目)

これ以上接近すると柚月だとわかってしまう。

俺は柚月の腰にギプスで固められた右手を添えると屋台の隙間に押し込んだ。

「え?ちょっと、なになに?」

ワケがわかっていない柚月を電信柱に押し付けて顔が見えないように覆い被さった。

「柚月、ごめん!しばらくこうしていて」

一軍グループが通過するまでしばらく間があるはずだ。

背後を気にしながらふと柚月を見ると、なぜか唇を突き出している。

「ん…涼太なら、いいよ♡」

え?あれ?俺いま壁ドンしている感じなのか?

目を閉じてる柚月の長いまつ毛が震えている。

ふっくらとしたピンクの唇が突き出されてキスを待っている。

いいのか?俺なんかが柚月とキスしていいのか?ファーストキスが柚月なんて許されるのか?

祭りの喧騒が遠ざかっていくと俺はそっと柚月の唇にキスをした。

柚月と離れるとふんわりと柔らかい感触を確かめるように自分の唇を触ってしまった。

柚月がはにかんだ微笑みを浮かべて俺を見つめている。

「行こっか?」

俺のTシャツの裾をつかんだ柚月と歩き出したとたん背後から聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「あれ?あの後ろ姿、柚月じゃね?」

「確かに!柚月っぽい!」

「おーい!柚月でしょ?」

後ろを振り返ってみるとマズいことに一軍女子と男子が間近にいた。

やり過ごしたと思っていたのに、どうやら途中の屋台にでも引っかかっていたようだった。

しかも柚月が声をかけられたことに気が付いて振り返ってしまった。

「あっみんなも来てたんだ!」

「柚月がいなかったから、寂しかったんだぜ」

一軍グループに近づいた柚月の肩に江坂が手をかける。

「ねえ、柚月も一緒にお祭りまわろうよ」

「行こう行こう!一緒に写真撮ろうよ」

どうやら普段の存在感の薄さが幸いして一軍の連中は俺に気が付いていないようだ。

俺はそっと路地裏に入るとそのまま小走りに遠ざかった。

やっぱり柚月は俺といるよりもキラキラした連中といる方がお似合いだ。

柚月も江坂に好意を寄せているのなら俺と一緒にいるところを見られたら気まずいだろう。

逃げ出した理由を正当化しながら歩いていると、ふと最初は自分の身を守るために柚月を遠ざけようとしていたことを思い出した。

一軍女子の人気者である柚月に近づいてイジメの標的にされるのはごめんだった。

でも今は自分のことなんかどうでもよくて柚月のことを守ってやりたかった。

俺なんかのために柚月が人気者のポジションでなくなるのがイヤだった。

いつの間にか柚月を好きになってしまったことに気がついた。

クラスの中心人物で陽キャで見てくればかり気にしていると思っていたけれど、世話焼きで頑張り屋で見かけより内面をほめられて喜ぶ柚月。

どうせもうすぐギプスが取れたら柚月が一緒にいてくれる理由もなくなる。

なぜかわからないがキスできただけでも奇跡にもほどがあるってもんだ。

家にたどり着いた俺は間抜けにも鍵を持っていないことに気が付いた。

まだ自分では開けられないので鍵は柚月が持っている。

俺は途方に暮れて玄関の前に座り込んだ。

「家に入れないの?」

見上げると柚月が立っていた。

ケガをした最初の日と同じ言葉を口にした柚月は、走ってきたのか肩で息をしている。

おもむろに俺の顔に拳を突き出すとデコピンされた。

「痛ってぇ!」

「ケガしてなかったら、張り倒してたんだからね!」

怒りのためか柚月の声が震えている。

「なんで勝手に帰っちゃうの?涼太とお祭りに行くの、楽しみにしてたのに!」

「俺なんかと一緒にいるところを、みんなに見られたらマズいだろ?気を利かせたつもりなんだけど」

「は?なにそれ?どういう意味?」

「江坂と柚月っていい感じなんだろ?俺なんかと一緒にいたら柚月に迷惑がかかるから」

「龍也のことなんかなんとも思ってない!あいつが勝手に私と付き合っているとか言いふらしているだけだから」

人前で肩を抱かれたり手をつなごうとしてくるけど、場の雰囲気を壊さないようにしているだけで柚月は嫌がっていたらしい。

「でも俺みたいな地味なヤツと一緒にいたら柚月の評価が下がるだろ?」

「誰と一緒にいるかは私が決める!カーストがどうとか、一軍にいなくちゃなんて思ったことない!」

柚月に顔を両手でつかまれて今度こそビンタが飛んでくるかと身構えた。

硬く目をつぶっていると柔らかい感触が唇に押し付けられた。

「バカ涼太!もう許さないから!ギプスが取れても、骨折が治ってもずっと一緒にいてやるんだから」

「ごめん、柚月…俺も一緒にいたい!柚月が好きなんだ」

「バカ!そんなの……私だって涼太が好き」

柚月が抱き着いてきて俺もギプスに固められた手で抱きしめた。

自分の心臓がドキドキしているのか柚月の心音なのかわからないほど胸が高鳴っていた。

この話の続き

柚月が浴衣姿のままリビングで正座して洗濯物をたたんでいる。俺はというとソファに座ってそんな柚月をぼんやりと眺めていた。ついさっき俺と柚月は告白し合って互いに想い合っていたことを確認した。抱き合うと柚月が泣き出して俺も涙をこぼしてしまった。まさかクラスカーストのトップに君臨する人気者の…

-終わり-
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