官能小説・エロ小説(約 131 分で読了)
初桜と共に散る、君の知らない場所(完)(1/21ページ目)
投稿:2025-07-27 00:16:14
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これは純愛でもなく、激情でもなく、美談でもなく、盗られた者の独白にすぎない。高校時代、僕には付き合っている女の子がいた。名前は「E子」#ピンク。地味で真面目、いつも静かで、目立つことのない存在だった。誰かと騒いだり、大きな声で笑ったりすることはなく、休み時間は静かな子たちの輪の中で、オタ…
高校の頃から付き合ってた僕とE子。ついぞ手を出さないまま大学の春を迎えた。そんなある日。午後二時過ぎ頃、E子からあるSNSでメッセージが届いた。「サークルの新歓行ってくるね!」#ピンク語尾の「!」#ピンクが、やけに明るく見えた。E子は大学の軽音サークルに所属したばかりで、前に…
前作で物語としては完結のつもりでしたが、多くの方から続編を望むお声をいただきました。
そこで今回は、E子視点の物語を「小説形式」で綴ってみることにしました。
実際の出来事や手元の資料、E子との話し合った際の記憶をもとにしつつ、そこに私自身の想像や願いを織り交ぜています。
すべてがそのままの現実とは限らないかもしれませんが、ひとつの「かたち」として、感じ取っていただければ幸いです。
以下は、前編・後編を未読の方や、内容を思い出したい方向けの登場人物紹介です。
「僕」大学1年生。高校時代からE子と付き合っており、キスすら未経験だったが、クンニだけはしたことがあるという、やや歪な性経験の持ち主。一人暮らし。
「E子」「僕」とは別の大学に通う一年生。地味な印象に反して胸は大きく、最近茶髪に染めて少し垢抜けた。内面にはしっかりとした芯があり、イケメンを好む傾向はあるが、基本的に一途。一人暮らし。
「R子」E子と共に軽音サークルに入った同学年の友人。彼氏と別れたばかりということもあり、K男に出会った瞬間に軽く一目惚れ。無邪気で素直な性格だが、感情に流されやすい一面もある。
「A子」軽音サークルの2年生で、E子の先輩。真面目な性格だが、恋愛に関してはやや奔放。周囲からの信頼も厚く、後輩からの人望もある一方で、恋愛面では陰で噂されることも。
「K男」E子と同じ大学の男子学生の三年。評判は決して良くないが、その色気と雰囲気に抗えない者は多い。初物を嗅ぎ分け、慣れた手つきで静かに手に入れる。恋人のような甘い振る舞いが巧み。
「S男」K男の友人。色白で高身長、無口でどこか物憂げな雰囲気をまとっている。クールで控えめな立ち居振る舞いだが、内面に何を抱えているかは見えづらいタイプ。
登場人物を紹介したところで、長くはなりますが、ここからはE子の目線で物語を辿っていきます。
思い出すたび、喉がつかえる。
高校卒業前から、予定が合わず、ほとんど会えずに迎えた軽音サークルの新歓の日。
それが、すべての始まりで。
昼過ぎ、彼に連絡を送った。
「サークルの新歓行ってくるね!」
事前に伝えてあったからか、それとも最近会えていないことへの寂しさや嫉妬からか、返事は来なかった。
飲み会の場所は、大きすぎない大衆向けの居酒屋。
サークルメンバー六人が集まり、六時から始まった。
広めの座敷が会場のようになっていて、飲み物を注文すると、三年の先輩が私たちに向けて歓迎の言葉を述べた。
しかし、新人歓迎会など形だけのものだ。
「話長いぞ~!」
というヤジが飛び、すぐさまゴチャゴチャとした飲み会となった。
乾杯の瞬間を写真に撮って、ストーリーにあげる。
R子とA子先輩と話していると、急に男性が四人、賑やかに入ってきた。
周囲がざわつく中で、一人だけ、静かな引力を放っているように見えた。
騒がしいはずの店内なのに、その人の周りだけ、なぜか音が少し遠く聞こえる気がした。
とりあえず、その男性たちのことをA子先輩に尋ねる。
「あー……まぁ、彼氏」
そう言って笑っていた。
A子先輩の横に色白の男性が隣に座る。
仲良さげだ。
彼氏だとしても、普通呼ぶかな?とか思っていると、彼からDMが来た。
「流されて酒飲むなよ〜笑」
少し微笑み、返信する。
「気を付ける笑先輩の彼氏さん来ちゃった〜」
別に嘘は吐いていない。
無駄に心配させる必要がないだけだ。
周りを見る。
三年の先輩もどこか不自然ではあるものの歓迎しており、恒例行事のようなものかと、違和感を覚えつつも納得した。
A子先輩、先輩の彼氏さんの三人で話をする。
彼氏さんは色白でカッコいいが、少し口下手なようだ。
真面目なA子先輩にお似合いだな、と思った。
三人で改めて乾杯をしたので、それも撮ってストーリーにあげた。
そのまま、A子先輩と先輩の彼氏さんとでぽつぽつと会話が続いた。
彼氏さんはあまり多くを語るタイプではなくて、A子先輩がときどき補うように笑いながら話す。
「付き合って、どれくらいなんですか?」
と、何気なく聞いてみると、A子先輩は少し考えるように間を置き
「んー、そんなに長くないかな」
はっきりしない返答。
けれど、そういう言い方をさらっとできるのって、なんだか大人っぽくて素敵だな、と思った。
ふと目をやると、少し離れたところで、R子がK男の近くに座っていた。
何を話しているのかまでは聞こえなかったけれど、R子の声が少し弾んでいるのがわかる。
K男はグラスを持ったまま、あまり表情を変えずに受け流しているように見えた。
それなのに、妙に存在感があって、視線を向けたその瞬間、目が合った。
一瞬だけなのに、深いところで何かがざわめいて、体が固まった。
見てはいけないものに触れたような怖さと、視線をほどけない熱が、いっしょに流れ込んできた。
息を吸うのが少し遅れて、慌てて目をそらす。
「ねぇ、E子ちゃんも飲みなよ〜」
横から突然、軽い調子の声がかけられた。
顔を向けると、隣にいた別の男の人が、こちらにグラスを差し出している。
「ごめんなさい、まだ未成年なんです」
そう笑って断ると、男は少し驚いた顔をしたものの、すぐに苦笑を浮かべて返す。
「えー、マジか。なんか大人っぽいし、普通に飲んでるかと思ったわ。ま、一杯くらいならバレないって」
その言葉の軽さに、どこか引っかかるものを感じながらも、うまく断り切れない。
ちゃんと断ってって、「彼」なら言いそうだなぁ。
そう思ったとき、後ろから声がした。
「……それ、E子ちゃん困ってるよ」
穏やかな口調だった。
怒っている様子はないのに、空気が一瞬、止まった。
振り向くと、K男が立っていた。
R子は少し離れたところで立っている。
K男はにこやかに、けれど確かな距離感で言葉を続けた。
「そういうのって、飲ませる側が楽しくなっちゃうだけだし、初対面で無理に勧めるの、ちょっと勿体ないと思うけどな」
言い方は柔らかい。
けど、言葉の芯は鋭い。
相手の男は軽く笑って
「悪い悪い」
とだけ言い、グラスを下げて私から離れていった。
私はうまく笑えずに、K男に向かって小さく頭を下げた。
「……あいつ、悪い奴じゃないんだけどね」
K男がそう言って、少し肩をすくめた。
「酔うと、ちょっと空気読めなくなるだけ。許してやって?」
目を細めるような笑みが、どこか柔らかくて、優しかった。
気づけば、K男は私の隣に座っていた。
まるで最初からそこにいたかのような自然さだった。
でも、言葉の間や仕草の柔らかさのせいか、不思議と嫌な気はしなかった。
K男の奥にR子も座る。
「ごめんね。急に来ちゃって。新歓の邪魔してない?」
K男が少しだけ声を潜めてそう言う。
その口調は、なんとなくフランクで、さっきよりも、少しだけ本音っぽく聞こえた。
「い、いえ、大丈夫です、はい。全然……」
そう返そうとして、私は自然とK男の顔を見ようとした。
K男の肩越しに、A子先輩と彼氏さんの姿が目に入った。
二人は、少しだけ身体を寄せ合うように座っていて、A子先輩の指が、彼氏さんのグラスの縁をなぞっていた。
見てはいけないものを覗いてしまったような気がして、慌てて視線を逸らす。
「……俺、なんか変なこと言ったかな?」
K男の声に、少しだけ不安の色が滲んでいた。
「あ、いえ!そ、そんなことないです……!」
振り返り、そう否定した瞬間だった。
K男の顔が、すぐそこにあった。
至近距離。
呼吸の音が聞こえるほどの近さ。
私がその近さに驚いて少し身を引くと、K男は軽く笑った。
「ごめん、狭かったね。驚かせちゃったか」
そう言って、少し身体を引いたK男の声は相変わらず落ち着いていて、
まるで、あの距離が偶然だったかのような自然さだった。
謝る声も落ち着いていて、淡々としている。
ドキドキしているのが自分だけなことが、余計に恥ずかしかった。
しばらくR子とK男と三人で話していると、R子がふと
「私、ちょっとだけ、飲んでみよっかな」
と笑いながら言った。
K男はちらりと彼女を見て、
「やめときな。飲めない人は、最初の一口が一番危ないんだから」
K男はそう言いつつも、目はどこか優しく笑っていた。
君にはまだ早い、と線を引くような言葉なのに、そのまなざしはむしろ、越えてみたくなる場所をそっと指し示しているようだった。
R子は、K男のおすすめのカクテルを聞き出し、注文。
一口飲むと
「え、飲みやすい!てかこれ、E子も好きな味じゃない?」
と、勢いよくこちらにグラスを差し出してきた。
「私は……ううん、いいかな」
手を軽く振ると、K男がそれを見て
「そだね、R子。そういうのはダメだよ」
と、R子に向けてやんわりと諭すように言った。
その言い方が、妙に優しくて、かばってくれているように聞こえた。
けれど私は、なんとなく心の奥で「少しくらいなら……」と考えていた。
試してみたい、というよりも、少し背伸びをしてみたい。
ほんの少し、踏み出したい気持ち。
その気配を察したように、K男がふとこちらに視線を寄越し、柔らかく笑った。
「もしかして、俺が責任背負えば飲みやすくなったりする?」
軽い冗談めかしたはずのその一言が、なぜか胸に残った。
彼はお酒のメニューを渡してきた。
R子がトイレに立ったタイミングで、私はお酒のメニューを手に取った。
けれど、正直、まったくと言っていいほど何が何だか分からない。
「……あ、あの、これ、どれが飲みやすいとか、あったりしますか?」
思い切ってK男に尋ねると、彼は少しだけ目を細めて、メニューを覗き込んだ。
「うーん……そうだなぁ」
少しだけ悩んだような間。
けれどそれは、答えを探しているというより、こちらのことをもっと知りたがっているように見えた。
「好きな音楽とかある?普段、どんなの聴くの?」
「えっと……ジャズとか、あと……ノベルゲームとかのサントラも結構聴きます」
「へぇ。じゃあ、落ち着いた雰囲気が好きなんだ」
そのまま自然な流れで、趣味や休日の過ごし方、犬派猫派みたいなことまで、ぽつりぽつりと話してしまっていた。
不思議と緊張はなく、むしろ、安心して話せる空気だった。
「うん、じゃあ……これかな」
K男はそう言って、メニューの一角を指差す。
肩が触れそうで触れない距離のなか、彼の指先が止まった先には、優しそうな名前のカクテルが書かれていた。
彼の指先が止まったのは「マリブミルク」
見た目も甘くて優しそうな響きが、少しだけ緊張していた私の気持ちを和らげる。
「軽めだし、飲みやすいから」
そう添えて、彼の視線が優しく私を見つめた。
注文が通り、しばらくして運ばれてきたマリブミルクを手に取る。
初めての酒だったけれど、そのまろやかな甘さに驚いた。
ミルクの優しい口当たりとココナッツの香りがふんわり広がり、思わず
「飲みやすい」
と呟いてしまう。
グラスを傾けて、もっと飲もうとした瞬間、手をそっと止められた。
隣にいるK男は、余裕のある笑みを浮かべつつ、小さな声でたしなめた。
「ペースはゆっくり、ね?」
ほんのりと甘いマリブミルクの香りの奥に、彼の香水の香りがふわりと混じり合い、思わずドキリとした。
その時、トイレから戻ってきたR子が戻ってきて、話が途切れた。
R子が戻ってきて場はまた賑やかになったけれど、K男は時折、こっそり私の飲むペースを気にしているようだった。
誰にもバレないように、小さく目が合うたびに優しい笑みを浮かべる。
甘い酒がじわりと身体に染み渡り、私は少しずつふわふわとした感覚に包まれていった。
すると、K男がそっと水の入ったグラスをくれた。
「無理しなくていいから」
その言葉に背中がそっと撫でられ、緊張が少しずつほぐれていくのを感じた。
手の温もりがじんわりと心に届き、いつの間にか肩の力も抜けていた。
私は一人っ子だけど、兄がいたらこんな感じなのかな、なんて、そんなことを考えた。
やがてしばらくすると、R子が少し疲れた表情を見せる。
K男はすっと立ち上がり、軽く微笑みながら言った。
「風に当たってくるよ。付き添うから、大丈夫」
私は心配そうにその様子を見つめた。
「大丈夫、すぐ戻るよ」
K男の言葉は優しくて落ち着いている。
だけど、その声にどこか意味深な響きが含まれているようで、私は思わず胸がざわついた。
「……え?私のことを心配してる?それとも、別のこと?」
心の中で動揺が広がる。
私の心配が、私の思っている意味とは違う方向で受け取られていることに気づき、急に恥ずかしさが込み上げてきた。
私は慌てて視線を逸らし、その場を取り繕うように息を整えた。
K男が見えなくなると、私はテーブルのグラスに手を伸ばし、冷たい水を口に含んだ。
ひんやりとした水が喉を通り抜けると、少しだけ気持ちが落ち着く気がした。
ふわふわとした酔いの感覚の中で、肩の力が徐々に抜けていくのを感じる。
しばらく水を飲み、深呼吸を繰り返しながら、なんとか気持ちを整えようとした。
ふと、スマホを開こうとすると、画面に表示された「彼氏」からの通知。
その名前を見た途端、胸が跳ねて、指先が震えた。
恐る恐る通知の内容を見ようとした瞬間、ドアが開き、K男が戻ってきた。
私は慌てて画面を隠し、視線を逸らす。
K男は戻ってきてすぐに
「……大丈夫?」
私の顔を見て、さりげなく水のグラスを指先でトンと押し出す。
「はい、大丈夫です。ありがとうございます」
「酔いって、急に来るからさ。今は大丈夫でも、気づいたときにはふわふわしてたりするんだよね」
穏やかな声色で、でもどこか探るような目で。
「……はい、ちょっと、そういう感じかも」
「なら、水多めにね」
少しだけ、沈黙が落ちる。
躊躇いながら、口を開く。
「……あの、さっきのことなんですけど」
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(2020年05月28日)
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