体験談(約 62 分で読了)
【殿堂入り】自ら命を断とうとしてた中性的というかボーイッシュな女の子を助けたお話・・・その続きと詳細。そして、完結へ・・・(2/7ページ目)
投稿:2016-05-26 06:30:26
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本文(2/7ページ目)
「聡美、結果はウェブでね!ってオチは無しで頼むよ?」
「ふふふ、相変わらずコウくんって言うこと面白いよねぇ!」
聡美は笑いながら俺の肩を軽く叩いた。
「実はあたし達・・・一年ほど前に結婚したの!子供はまだだけどね」
聡美は修と顔を合わせ、聡美は照れ笑いをしていた。
「マジかよ?!てかお前らいつもバンド内でガチのケンカまでしてたじゃねーか?!」
「え・・・?バンド・・・?」
綾が不思議そうに聞いてきた。
「あれ?後ろの子はひょっとして・・・彼女?」
修は俺のすぐ後ろにいた綾に気付き、俺に聞いてきた。
「ん?ああ、俺の大事な彼女で綾っていうんだ」
俺は綾に微笑みかけ、綾もまた照れ笑いを見せる。
「俺は修!こっちが嫁の聡美!よろしくね!綾ちゃん!」
「こんにちは、綾ちゃん」
「あ、私、綾です。よろしくお願いします」
綾は戸惑いながら綾は二人に対し、丁寧に自己紹介した。
「俺ら何年も前だけど音楽でバンド組んでた仲間だったんだよ」
修が俺との関係を綾に説明する。
「そうだったんですか?!コウちゃんが!?」
聴かされた綾は驚いた表情をしている。
「そう!しかもコウはキレイ化粧バリのビジュアル系で!」
「ちょっ、待て!てかあれはお前らがやらせたんだろ!?」
修の言葉に俺は慌てて反論した。
「えー?!でもコウくんも満更でもない感じだったよぉ?自分で化粧できちゃうくらい上達してたし、その時の仕草も女の子っぽかったし!女のあたしでもドキドキしちゃったもん!」
「そうそう!それに加えてその細さだろ?!暗かったってのもあったけどそのせいでライブ中のステージ上でヤローからコウへのガチの告白された時はどうなっちまうんだよとか思ったわ!」
「それに対してコウくんが、『ごめんね。俺、男だから』って言ったらあの男の子すごいショック受けてたよね」
「あの少年にとってあれが初恋だったかもなぁ・・・」
修は腕を組み当時を懐かしんでいた。
「しゅ、修も聡美も!俺が女の仕草してたのも役になりきる女方の歌舞伎役者の宿命みたいなものからであってな!」
「・・・まぁ、その辺は若気の至りってことでその話はその辺で勘弁してくれ!」
「それと綾、そこは笑う所じゃなくて、フォローするとこよ!」
修に引き続き、聡美までもが語り始め、俺は苦笑いしながら説明した。
綾は俺の側でくすくすと笑っていた。
「でも・・・元気そうで良かったよ!こんな可愛い彼女でまで出来てさ!」
「ああ、お陰さまでね」
俺は微笑みながら修に応えた。
「なんか吹っ切れたみてーだし!しっかし、あの時のコウはマジヤバかったよなぁ!そのまま死んじまうんじゃないかって心配してた・・・」
「ちょっ!?馬鹿っ!修!!」
修の台詞に強ばった表情をした聡美が咎める。
「え・・・?」
綾は目を見開き俺を見ていた。
「あ・・・わ、悪い!コウ・・・」
修は俺に頭を下げた。
「・・・いや、もう大丈夫だから気にすんなって!頭上げろよ・・・聡美も、修だって悪気があって言ったわけじゃないからさ。あの時はワケわかんなくなっててさ、マジ助かったよ・・・」
「う、うん・・・コウくん・・・ごめんね・・・」
「いいって!気にすんなよ!せっかく再会できたんだから!」
俺は陽気に振る舞ったがこの時、胃から酸っぱいものが込み上げてきたのを感じた。
「ね、ねぇ!今度みんなで呑みにでも行こうよ!もちろん綾ちゃんもね!」
聡美がフォローするように声を掛けてきた。
恐らく俺が胃から込み上げたモノによって感じた胸焼けにより少しだけしかめた顔に気づいたのだろう・・・。
今思えばその動作についてずっと俺を見ていた綾も察知していた・・・。
「あ、ああ。じゃあ俺、番号変わったから教えるよ」
俺は二人と携帯の番号を交換した。
「じゃあ後で連絡するから!またね!コウくん」
「・・・またな、コウ」
聡美は笑顔で、そして修は申し訳なさそうな顔でいつもの挨拶にて共に歩いていった。
「・・・コウちゃん」
二人が人混みの奥へ行った後、綾は俺を呼んだ。
「ん?どうかした?」
「う、ううん。あのっ・・・あたし、カラオケ行きたいなって」
綾は今思い付いたように俺に行き先を告げた。
「カラオケ?綾って歌うのあまり好きじゃないって言ってなかったっけ?」
俺は以前、綾をカラオケに誘った時があったが、上手くないからと断られてしまった事があり、それ以来俺からは誘うことはしなかった。
「こ、コウちゃんバンドやってたっていうからコウちゃんの歌声聴きたいなぁって・・・ほら、行こ」
「いや、俺はベースだったから・・・わっ!ちょっと、綾?!」
俺は半ば引っ張られるようにしてカラオケ店に向かった。
その後、カラオケ店に入店し、俺と綾はカラオケを楽しんだが、綾は何か言いたそうな雰囲気を漂わせていた。
入店から小一時間ほどたった頃、それは起った。
「・・・コウちゃん・・・」
「んー?何?なんか歌いたいのある?」
歌った事によりいつもより上機嫌になっていた俺はリモコンを操作しながら呑気な口調で綾に返事をした。
「・・・コウちゃん!ちゃんと聞いて!!」
「うわっ?!」
綾はマイクを握りしめ、大声で俺を呼び掛けた。
そして辺りにはハウリングと呼ばれるスピーカーから不快な高周波がガラスを擦ったような音に化け部屋中を所狭しと駆け巡っていた。
「な、何!?ど、どうしたの・・・?!」
俺は唖然とした表情で聞いていた。
「・・・あたし・・・コウちゃんの過去の事・・・何も知らなかった・・・」
綾はマイクを置き、語り掛けてきた。
「綾・・・?」
「・・・でも、そんな事どうでもいいって、あたしは今のコウちゃんが大好きだから・・・!!」
「・・・だから知らない方が幸せなのかな・・・?」
綾は困ったような顔をしながら俺に問い掛けた。
「・・・綾・・・」
「・・・でもさっき修さんが・・・コウちゃん死にそうだったって・・・」
「え・・・?あ、あれは言葉のあやってやつで・・・」
「やめて!!」
綾の大声に俺は沈黙せざるを得なかった。
「・・・コウちゃん・・・それってあたしには言えない事なの・・・?」
「・・・その事を今の綾の耳に入れるのには辛い想いをさせる事になるかもしれないから・・・」
俺はその場しのぎの言い訳をした。
「・・・あたしが辛いのは!」
綾は怒った顔しながら言い放った。
「あたしが辛いのは・・・コウちゃんの事をあたしが知らない事なの!」
「綾・・・」
「一体何があったの?コウちゃん。あたしには話せって言ったくせにコウちゃんはあたしには話してくれないの!?」
綾は絶対に引かないといった態度で俺を見つめている。
それに根負けした俺はぽつりぽつりと語りだした。
「・・・実はね、俺・・・バツイチなんだ・・・それに男の子が一人いた・・・」
「バツ・・・イチって結婚して離婚したって・・・いう?」
「うん・・・実質、一緒に過ごしたのは二年で結婚から離婚までは一年くらいだった・・・」
俺は綾の質問に丁寧な口調で応え、そのまま話を続けた。
「出会ったのはライブの打ち上げで飲み会してた時。聡美ちゃんの友達でね・・・」
「相手は俺の事については写真とかライブやってる時に知って紹介してくれって頼まれたらしくて・・・」
俺はそこでほぼ無意識にタバコをくわえ、火を着けた。
「俺も初めて会った時は特に意識はしてなかったんだけど・・・綾には申し訳ないけど会話をしてるうちにいい子だなって、お互い惹かれ合ったんだ・・・」
「ううん・・・大丈夫・・・」
綾は少しだけ身体を強張らせたが、うつむいて首を左右に降った。
「そんな事もあって俺達はすぐに付き合いだして・・・関係もって・・・三ヶ月くらい経った時に・・・向こうに子供ができて・・・」
「それで俺・・・好きだった事もあって結婚したんだ・・・」
俺はタバコの煙と共に大きく息を吐いた。
「・・・それでどうして離婚なんてしちゃったの・・・?ケンカしたとか・・・?」
綾の両親も不仲による離婚の為、同等の理由なのかと聞いてきた。
「・・・浮気・・・いや、その前の・・・俺が出会う前から・・・付き合ってた男がいたんだ・・・」
「え!?コウちゃんと付き合う前からって・・・どういう事!?」
綾は怒ったような口調になった。
「正確にはその時の彼氏とケンカ別れした後に俺と付き合った形なんだけど・・・問題はその間により戻して・・・それでも俺と付き合ってて・・・二股っってやつだね・・・」
「俺と結婚してからも・・・それが続いてて・・・それがわかったのが俺がこの目で・・・」
「・・・信じられない!」
綾は俺の話途中に溜めてきたものを吐き出すように話し出した。
「コウちゃんと出会う前からって・・・何よそれ!!それも赤ちゃんができたってさぁ!」
「綾・・・」
「そんなんじゃ、コウちゃんの子か相手の子かわかったもんじゃないじゃない!?」
綾のその台詞はその時の俺にとって龍の身体に一ヵ所だけ生えている逆毛とも言える逆鱗に触れた・・・というより思い切り殴り付けてしまった。
「・・・あ?・・・今・・・なんつった・・・?」
俺は低い震えた声で綾に問い掛けた。
「コウ・・・ちゃん・・・?」
「今・・・!なんて言ったんだよ!!ああ!?」
俺は立ち上がり、初めて綾を本気で怒鳴り付けた。
「え・・・?え・・・?」
綾は涙を浮かべ震えていた。
「どっちの子だかわからねぇ・・・?ふざけるな!!」
俺は勢いよく頭を斜めに振り下げる動作をし、そのまま今度は俺が溜まったものを吐き出した。
「・・・何も知らねぇくせに・・・どいつもこいつも二言目にゃいつもそれだ・・・!」
俺は声を押し殺したように言葉を発し続けた。
「俺はあらゆる手ぇ尽くして!俺の子供である事を確証する証拠まで作った!」
「それを突きつけても同じこと繰り返して能書き垂れるだけで逆の証拠も出しやしねぇ!てめぇらオウムか!?」
「けどな!修と聡美だけはそんなもん見せなくてもこんなに俺に似た子はいないと信じて疑わなかった!」
「そもそも生まれてきた子供には何の罪はねーんだ!そんな戯れ言は二度と口にするな!!」
俺は脱力したようにソファーに座り込み、うなだれたまま肩で息をしていた。
もう何度目だろう・・・一言一句間違えずに言えるくらい繰り返したこの台詞・・・。
子供とは俺から会うことはないと心に決めたあの日・・・その頃からこの台詞を口にすることは無くなった。
けどそれは俺が俺自身を破壊する事態となった・・・修と聡美を巻き込んで・・・。
この時も綾に言ったというより、子供を否定する言葉を放つ者に対する戒めのつもりだった。
そして俺は我に返った・・・。
「あ・・・綾!?俺、つい!」
俺は綾を見たとき、綾は俯き、押し殺すような声で泣いていた。
「ご、誤解なんだ!今のは綾だけに言った事じゃなくて、その、なんていうか・・・」
「・・・あたし・・・また・・・やっちゃったよぉ・・・」
「・・・もう・・・あたし・・・コウちゃんに・・・合わせる顔なんて・・・もうないよぉ・・・!」
綾は手のひらで目や頬をめちゃくちゃに拭いながら伝えていた。
「もう・・・一人で・・・帰るね・・・」
綾は部屋を飛び出した。
「待っ!・・・うわっ?!」
綾を引き止めようとした俺は足を滑らせ、転倒しそうになった。
その際に左手でテーブルを掴み、転倒を阻止しようと努力したが、一本足で支えているテーブルの為、角を押し上げてしまう形となりテーブルがこちらに勢いよく向かい、左のこめかみ付近を強打。
激痛と瞼に映る流星群のようなフラッシュバックと共に大きな音を立てて転倒してしまった。
「・・・ってぇ・・・」
俺は全身を襲う激痛と頭のふらつき、さらにはひっくり返ったテーブルとソファーに挟まれる形となり、身動きがとれなくなった。
「・・・ぐっ、はぁ、はぁ!」
俺は左腕でテーブルを押し退けた。
その時、涙が落ちるように目の下から二、三粒ほどの滴が落ちたのが確認できた。
上半身を上げ、正座を崩したような形で座り、右手で左目付近を押すように触った際に痛みが走り、手放した所、その右手は真っ赤に染まっていた。
「・・・あの時も・・・こんな色してたっけなぁ・・・あはは・・・」
俺は綾を追う事を忘れ、一人血に染まった涙を流しながら笑っていた。
数分後、俺は誰にも見つからないようトイレ向かい、こめかみの傷を確かめてみた。
テーブルを力を込めて押し退けた時に頭に上った血がそのまま流血した。
滴るほど量はそれなりに多かったが、傷口自体は三ミリほどの小さな裂傷だった。
俺はロールペーパーをほぼ一個を使いきり止血を終えた。
「ぶっ!」
洗面台に吐き出した塊は白く彩られた台の一部を真っ赤に染め、口内の切り傷があることを示し、そして鏡にて唇の端も少し切れていた事を表していた。
「・・・なんだよ?ひでぇツラしてんなぁ・・・?」
俺は鏡の自分に話し掛けた。
「・・・悪い。俺、綾とダメになっちまった・・・」
そこでタバコをくわえ火を灯(とも)し、くわえたまま鏡へ話し続けた。
「・・・この俺に恋愛なんて無理だったのかな・・・?」
「このまま一人で生きてく・・・てのがお似合いか・・・?」
「おいおい・・・真似ばっかしてねーでよ?ちっとは答えてくれよ・・・?」
鏡の中の俺は苦笑いしている。
「って、んなわけねーか・・・バカらし・・・」
俺はため息をつきながら洗面台を洗い流し、カラオケ店を出て一人、帰路についた。
こめかみの腫れがだいぶ引いたある日、俺は早朝から駅の外に設置された屋外式の喫煙所に設置されたベンチに座っていた。
そこは綾との待ち合わせの場所になるはずだった所・・・。
その日までに綾からは一切の連絡はなく、俺からも連絡はしなかった。
その間に聡美から連絡があり、修と共に遊んだ時、俺は綾とは終わってしまった事は言わなかった。
もし言えば修はきっと自分を責めるだろうし、聡美にとっても夫婦仲に暗雲が立ち込める事にもなりかねないので今日は家の都合で来れなかったと誤魔化した。
結婚式をやるなら呼んでくれよと修に言われた時は作り笑いさえも作るのにかなり苦労した。
頃合いをみて報告しようと考えながら二人と別れ、その帰り道ではつい、綾との楽しかった頃を思い出してしまい、走行中のヘルメットの中で大声で泣き喚いた。
その日は旅行当日で、隣にいるのは人ではなく、最低限の物だけを詰めた小さな旅行カバンと酒の肴として購入した冷めた鶏の唐揚げ。
俺の手には温もりのある手ではなく冷えたビール缶。
俺は早朝からビールを煽っていた。
こんな事をしたのは人生初の事であるが、なかなか悪くはなかった。
人の往来などほとんどなく、乗車予定の電車の時刻はゆうに二時間近くはあった。
俺は三本目のビールを開け、身体の中へ流し込んでいた。
「くうぅ!五臓六腑に染み渡るぅ!」
などと一人でおやじギャグを呟いてみたけどけど、今の俺に染み渡るのは悲しみと誰も聞いちゃいないだろといった虚しさだけだった。
その時、こっちに向かって歩いてくる化粧をした女性の姿がふと視界に映ったが、その時は通りすがりに目に入るマネキン人形くらいの認識しかなく、タバコを吸いに来た人くらいにしか感じなかった。
俺は顔を下に向け、相手に気付いていないふりをした。
女性は三ヶ所ある灰皿のうちなぜか俺のいる灰皿の近くに来た。
女性は喫煙をする様子はなく、じっとしているようだった。
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