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(主に知的な)障害がある女性と仲良くなった話~三人目 家出母娘アヤノちゃんとの話、お風呂編~(1/2ページ目)
投稿:2022-09-19 02:19:39
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お初にお目にかかります。わたくし、ごんべえと申します。もちろん仮名です。仕事は人と接する仕事…ま、大体何でもそうですね。身バレを防ぐためにぼやかしますが、障害がある人と接することが多いお仕事をさせてもらっております。障害がある人…と聞くと、みなさんどんなイメージでしょうか。…
なかなかと、イレギュラーな出会いを二人目にもってきてしまいましたね…。これに懲りず、もう少しお付き合いください。ナルちゃん以降の方々は、もう少しあり得そうなシチュエーションで出会った方々となります…。さてさて、あれ以降の僕の話に戻しまして。はじめまして以降も、かなりの頻度でナルちゃん…
前回までの所で、タイプが異なる2人の女性を紹介してきました。
みなさん、どちらのタイプが好みでしょうか。
僕が思うに、一人目のユウカさんタイプの方と出会うチャンスは非常に少なく…。
仮に出会えたとしても、おそらくは声をかけた所で拒絶されてしまいます。
基本的にやり取りは苦手なので、声をかけても不安になったりして、きっと逃げてしまわれます。
それでもユウカさんと仲良くなれたのは、福祉バザーで売られていたおもちゃという「橋渡し役」があったから。
そういうきっかけを得て、僕と彼女らとの間に架け橋がつながらないと、
いくらこちらから彼女らの方へ乗り込もうとしても逃げられてしまいます。
のんびり釣り船で釣りを楽しんでいたら、突然目の前に海賊船…。
誰だって逃げますよね?
きっと、そんな感覚なのだと予想します。
そんな前置きから、今回はどんな女性が主人公かというと。
ユウカさんと同じく、遭遇するチャンスはもちろんのこと、
遭遇したとしても仲良くなれるチャンスもほぼ無いであろう、そんな女性です。
とあるきっかけで「架け橋」がつながり、仲良くなれた方でした。
お名前はアヤノちゃん。
年齢は19歳。軽度の知的な障害があります。
ただ話すだけでは分からない程度、だけど…という部分は後ほどお伝えするものとして。
高校生になる時点から特別支援学校に通っていたのですが、高2で自主退学しています。
僕と出会った時点では、退学から2年目という状態でした。
退学の理由は問題行動を起こしたから、ではなく。
不登校状態が改善できず、そのまま自主退学というパターンでした。
彼女のことを説明するには、彼女自身についても情報量が多いのですが。
それ以上に、彼女の家族についても前置き情報がたくさん必要なのです。
なにしろ、ご両親ともに軽度な知的障害があり。
それゆえに二次障害的な要素が加わって困難な状態になっていたのがアヤノちゃんでした。
親父さんについては土木系のお仕事に就いていて、パッと見も中身も職人さんそのもの。
ただ、障害と「職人気質」と称されるであろう特徴を有することから、
子育てに関わることは難しく、まして女心など難しくて理解できない。
いわゆる亭主関白で仕事以外はほぼ自分の自由に過ごすという、そういうスタンスの親父さんでした。
そうである以上、アヤノちゃんとの関係が良好であるわけがありません。
ではお母さんはというと、3人の中で一番障害の程度が重い。
程度的には軽度もしくは中度といった所で、公共交通機関を乗り継いでどこかへ行くことはできても、
お金の計算などは難しく、家事も支援が必要。
そのためお家にはヘルパーさんが出入りしていました。
ヘルパーさんに家事、炊事を教えてもらいながらやってみるけれど、やはり一人でこなすのは難しい。
アヤノちゃんにとっては唯一安心してやり取りできる相手でありながら、
同時にアヤノちゃんを振り回す元凶であるとも言える、困った方でした。
「こんばんは」
「あ、お久しぶりですね」
…僕が初めに出会ったのは、アヤノちゃんではなくお母さんでした。
出会った場所は、安アパートの近くにある、夜遅くまでやっていて、
なおかつ無料で水やお茶をいただける「休憩スペース」も兼ね備えたスーパーでした。
この休憩スペースというのには…みなさん、どんな人がいるか観察したことはあるでしょうか。
夕方頃までは、いつ行っても見かけることが多いご高齢の方々が目立ちますよね。
買い物ついでに気軽に寄れる、地域のサロン的な形でお知り合いと楽しく過ごしていらっしゃる。
昼を過ぎて夕方になると、学校帰りの学生さんが増えて来て、夕食前のおやつを買い食いしていたり、勉強していたり。
小学生の場合は友達とゲームをしていたり。
これがもっと遅い時間になると、今度は仕事帰りの方々が増えてくるわけですが…。
多くのお店が夜8時や9時に閉店する中で、一部には10時、11時、もしくは24時間営業というありがたいスーパーもあるわけで。
そういう遅い時間になるとどうなるか。ご存知ですか?
地域にもよりますが…僕が当時住んでいたアパート周辺の場合、大変「ディープな方々」の姿が増えてくるわけです。
今住んでいる地域の場合、そういう方々は少ないのですが、当時のあの周辺はそうだった。
特別に治安が悪い所ではなく、むしろ落ち着いた郊外の地域でしたが。
申し訳ない言い方をすれば「小汚い」方、そして何か「自分たちとは異なるオーラ」を感じられる方…。
そういう人がちょくちょく見かけられました。
「元気ですか」
「元気ですよ。お母さんも元気そうですね」
アヤノちゃんのお母さんは…実年齢は知りませんが、同じ年齢の方を何人も並べたら、その中ではかなりご高齢に見えるような。
そういう風貌の方でした。
かなり白髪が多めのグレイヘアー(ただ染めていないだけ)に、よれよれの服装というのが大きな要因でしょう。
見た目としては、名女優であった故「なんとかキリンさん」のような見た目を想像していただけると良いかと。
こんな話の中で名前を出すのは申し訳ないので伏字にしちゃいますが。
なので、突然話しかけられても「あぁ、こういう年代の方って、色々話したくなるよね」と。
そんな感覚で接していました。
なにしろ仕事が仕事なので、そういうやりとりは慣れたものです。
特に害が無い相手であれば、お互いに気持ち良く接することができればそれが一番だと思うので。
危険性を感じない相手の自然なやり取りだと感じられれば、邪険に扱うこと無く接するようにしています。
その結果、アヤノちゃんにしてもユウカさんにしても、貴重な出会いにつながったわけで…。
と、長話になるので本題に戻って。
遅い時間の「値引きシール乱発祭り」を狙って、僕はよく夜のスーパーに出かけていました。
翌朝の朝食にするパンであったり、冷凍保存しておけば問題ない肉や魚であったり。
もちろん仕事帰りに寄ることもあったので、色々な時間帯にあのスーパーに通っていたのですが。
そんな中、覚えやすい風貌のお母さんがちょくちょく休憩スペースにいて、話しかけてくるわけです。
「またしばらくこっちにいるんですか?」
「はぇぇ、しばらくね」
…文字にすると難しいのですが、このお母さんは「はい」と言っているのであろう音がずいぶんと特徴的でした。
そして話し方の雰囲気からは、自閉的な要素も感じられました。
さらに…見かける時期は毎日のように見かけるのに、いなくなるとパッと姿を見せなくなる。
そんな謎の特徴も有していたので、風貌も相まってとても覚えやすい方でした。
だからこそ、アヤノちゃんと一緒に休憩スペースに座っているのを見つけたときは、本当に驚きました。
お母さんと知り合った日からずいぶんと経ったある日、閉店まで30分といった時間帯の休憩スペースに目を向けると。
小さめのボストンバックを床に置いて、かなり沈んだ表情で座っているオイリーな見た目の髪の少女が座っている。
時間的にも見た目的にも、完全に「家出少女」のそれ…の、イメージ。
当然誰も声をかけず、見て見ぬふりです。
でも、僕はそうできないタチで…場所を変えつつ休憩スペースを気にしていると。
なんとなんと、あのお母さんがトイレから出て来て、少女の横に座るではありませんか。
お母さんとの雑談から把握していた情報によれば。
この方は電車で1時間以上の距離からわざわざこちらに「遊びに来る」ことがあり。
そのとき家には夫と娘が残っているが、ヘルパーさんが食事などを作ってくれるので何とか生活できて。
(本来、利用者が不在の場合ヘルパーさんは何もできずに帰るしかないのですが、この方の場合は家庭の状況などから特例措置)
それでも勝手に家を空けるので、帰ると毎回怒られるのだ…とのこと。
ということは、あの横に座っているのが娘さんなのだろうと。
「こんばんは」
「はぇ?あぁ、お兄さん」
お母さんと知り合って少なくとも半年以上が経っていましたが、これはもう本当に驚きました。
まさか娘さんが同行してくることがあるとは…。
「娘さん、ですか」
「はぇぇ。勝手についてきちゃって」
あの当時すでに、お隣の国のカルチャーが若者ウケしていましたが、
この時点では名前を知らない謎の少女であったアヤノちゃんも、
見るからにそういうメイクなどを好みそうな雰囲気でした。
「座って良いですか?」
「いいですよ。お兄さん一人ですか?」
いつものようにお母さんが話し始めますが、それは適当にあしらって本題は娘さん。
ここまでの時点で、声をかけた所から目の前に座って話し始めるまで、アヤノちゃんは視線を落したまま、文字通りまるで身動きしていません。
目線すら動かさない。もうその時点で「何かある」ことは間違いないわけです。
「なんか、元気ないけど大丈夫ですか?」
「えぇ―…実はしゃべれないときがあってねぇ、動かなくなっちゃって」
…さぁ、どういうことか分かりますか?
まさか本当に話せないわけが無いことは見た目で分かります。
知的な障害ゆえに話せないなら、こんなに「動かない」と明確な意思をもったように固まっているわけがありません。
なにしろ全く見ず知らずの人間が目の前に座って話しているわけですから。
当然「なんだろう?」と、何かしらの反応を示してしまうはずで、もちろん聞こえに問題が無いことも明白です。
そこで、答えは「緘黙(かんもく)」だろうと予測しました。
メンタル面での理由から、話すことができない状態のことを言いますが…
アヤノちゃんの場合、それに加えて行動面での障害も出ているのだろうと。
緘黙の方は、必ずしも「自由に話せない」ことだけが苦しさであるとは限らず。
意思を声ではなく「動き」に出すことについても困難さが生じる場合があるようで…。
おそらく、そういう意味での「動けなくなっちゃった」状態が今なのだろうと想像しました。
そうだとするとどうすれば良いか…色々考えを巡らせつつ。
この時点で僕は、アヤノちゃんは学生さんだと思ったので。
下心は半分で、純粋に「しかるべき機関とつなげて家に帰ってもらおう」という頭がありました。
…ウソではありません。下心は半分。
色々聞いてみると、お母さんの親戚がこちらに住んでいて、そこに泊めてもらう予定だったところ、その家があまりにも汚いそうで。
あんな所には行きたくない。でも帰れない。
昨日はネットカフェに泊まれたから今日もそれでいいじゃないか。
このとき、アヤノちゃんはそう思っていたそうでした。
文にしてしまえばそれだけのことですが…何しろ相手はメンタルさんです。
これを聞き出すまでに軽く1時間以上かかりました。
そもそも「もう閉店ですよ」という店から運び出すこと自体も大変で、
「ここは閉まっちゃうから、とりあえずファミレスにでも行って話しませんか?」という誘いなどには一切反応を示さず。
別れのワルツが流れ始め、店員さんが片付けをはじめて、その流れでいまだに店内に残る迷惑な客である僕らは声をかけられて。
それでようやく僕とお母さん、そして後ろから心配そうについてくる店員さん(良い人でした)の三人がかりでアヤノちゃんを外に連れ出し、僕の車に乗せるという…。
よりによってこの日は雨だったので、災い転じて普段の自転車ではなく車があるぞ!という偶然の流れで無事連れ出せたわけですが。
まぁ大変でした。
もう一つの偶然は、僕がこのお母さんとよく話をしていること、そしてヘビーユーザーでよく来店していることから、
店員さんがこちらのことを認識してくれていたこと。
僕がこの親子の知り合いであるとすんなり信じてくれて、傘までさして応援してくれちゃったわけです。
そうでなくても、厄介な客をどうにかしてくれるまともそうな客であれば、
そりゃぁ誰だって応援して店の外に追い出そうとするでしょうけれど。
そんなこんなで車に乗り込み、この状態ではファミレスに行くなんて無理だと悟った僕は、
とりあえず「家に来て良いよ」という流れにしました。
雨が降る中、どうやって部屋まで運ぼうか…まわりの目もあるし…と心配でしたが、
部屋にはすんなり入ってくれちゃうアヤノちゃん。
「お兄さんの家は広いですねー」
「まぁ、なんとか泊まれる広さはあるんで」
「突然ごめんなさいね」
お母さんはというと、のんきなものでべつに何とも思っていません。
なので普通に世間話をしちゃいます。
突然ごめんなさいというのもテンプレートで言っているだけのこと。
心からの言葉ではありません。
申し訳ないですが、世界は弱肉強食なのでお母さんには最低限の対応しかしません。
目的はあくまで、アヤノちゃんをどうにかすること。色んな意味で。
なので。
「お母さん、ごめんなさいなんだけど、一度車で待っていてもらっていいですか?」
「車でですか?」
「一度アヤノさんと二人で話してみたいんで」
理解力的に、まずいと思う内容でなければ言われるがままなお母さんでした。
なのですんなり車に乗ってくれました。
鍵はしません。何かあれば勝手に戻ってきてね。
部屋に戻ってダメもとで話をしてみると、ありがたいことにポツリポツリと話し始めてくれたアヤノちゃん。
それでようやく、先に書いた「店から動かなかった理由」が分かりました。
…完全なる緘黙ではなく、場面緘黙程度の症状だったようです。
話してくれたということは、少なからずこちらに何かしら期待や希望を見出しているのでしょう。
ただ、体のあちこちが四肢まひのようにこわばり、なかなかと不自然な格好のまま座いすに座っています。
それに…。
「おそわない?」
「え?」
「怖いのは嫌…」
「そんなことしないけど、え?どこかでそういうことされたの?」
「無いけど…」
当たり前ですが年頃の女の子。そういう恐怖心もありました。
実際、半分は大当たりなのだから何も言えません。
ただ、とにかく親戚の家(聞けばこの時代に「ボットン」トイレとのことで、そりゃぁ嫌でしょう)には行きたくないけど、
帰ることもできない…とだけ分かれば、もう大丈夫。
お母さんを呼び戻し、心配の種であるトイレがきれいであることも見せ、一安心。
それでまた、緊張がほぐれて話してくれるようになりました。
ここから先はスムーズで、話すごとに仲が深まり、笑顔を見せてくれるようにもなりました。
それで先に書いたような家庭の状況も分かっていきました。
不安はあるものの、ひとまずすぐに襲うような人ではないし、
最低限お母さんもいるし…ということで。
なんとなく「優しいお兄さん」だと思っても良いのかな?
安心しても良いのかな?といったところでしょうか。
なにしろ家に帰っても…アヤノちゃん、退学後も学校と外部の諸機関が頑張ってくれて、せっかくつなげてくれた事業所にすら通えなくなり。
それで親父さんはカンカンで、自分の部屋にこもらざるを得なくなって。
そういう状況なのにお母さんはふらっと、自分の「限界」が来ると遊びに出かけちゃうので。
それで無理やりついて来ちゃったらエライ目に遭っている、というのが今なので。
帰っても親父さんの機嫌が一層悪くなっているのは明らかで、
それならひとまずは僕の家に居た方が良いに決まっています。
思わぬ形で問題となったのは、なんとお風呂でした。
もちろん「ユニットバスじゃ嫌」なんて話ではなく。
「一人で入れなくなっちゃって…」
「は?」
「今はヘルパーさんに入れてもらっているんです」
…いわく、行動障害的な要素で、例の牛歩戦術でまったく動けなくて、ヘルパーさんに頼らないと風呂に入れられないとのこと。
そんな馬鹿な。
申し訳ないですが、それは甘えでしょう。
「ごめんだけど、そのベタベタで汚い髪のままベッドに入ってほしくはないんだよね」
「っ…」
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