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【評価が高め】でもさ、考えてみて?結婚したらそんなプレイすることになるんだよ・・・ソレってどんなプレイですか?(4/6ページ目)
投稿:2021-12-25 09:35:09
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本文(4/6ページ目)
「実習期間ってたった2週間じゃ無いですか?生徒と喋る時間なんてほとんどないんですよね。だからコミュニケーションを取るのにあえて設けています。でも、これってクラス担任の佐藤先生が認めてくれたからなんです。」
その佐藤先生とは工業土木のベテラン先生です。元々スクールウォーズみたいなクラスを崩壊させないだけでも大したもんだなどと言われいたその先生からやり方は任せると言われていましたので、全く興味のない勉強の話だけ聞かせるのは可愛そうだった生徒たちとのコミュニケーションを取ることを考えてのことでした。
「でも・・・その佐藤先生も定年退職。工業科も今年限り・・・。その最後の年に実習生として来た風谷先生って・・・」
運転する舞衣さんが何かいいたげに、そう私に問いかけました。
「そうなんですよね。前も言いましたけど、僕の母校から受け入れ拒否にあって・・・縁あってこっちの付属校にお世話になっています。」
高校時代に手錠を掛けられた経歴のある私は、自分の母校から拒絶されたような感じになっていました。
「まっ、いいじゃないの。そのお陰で一緒に教育実習受けられるんだから・・・」
そこで口を挟んだのはふたばでした。どう言う訳かふたばがそんなことを言うのが意外というか・・・そんなふたばが話を続けます。
「わたしってさ・・・そもそも先生目指すって柄じゃなかったんだけど・・・」
「えっ?ふたばって先生目指すためにあの大学目指したんじゃないの?」
私の母校のすぐ近くにあるふたばの通う大学は教育学部が有名な大学でした。まず、そこに進学した学生は先生になるのが当たり前かと思っていましたが・・・
「わたしの専攻は経済のほう・・・。わたしって計算好きだから数字で追い込めるものはとことん突き詰めちゃうタイプなの。」
「でも、今・・・ふたばは先生になろうとしてる。先生になるなら初めから教育学部のほうが・・・」
「うん・・・。そうなんだよね。わたしってそもそも人付き合いが苦手で、人前で自分の意見なんか話すのなんてもってのほか・・・」
「じゃ・・・なんで?」
「アンタだよ。アンタの影響!」
「えっ?僕?」
「あれ?風谷先生って、豊浜先生(ふたばのこと)の人生変えちゃったってこと?」
「い、いや・・・決してそんなこと・・・」
その時私が運転する舞衣さんにそう返すと、助手席のふたばが前向きに座り直し遠くを見るような表情で改めて話を続けました。
「大学入ってすぐの夏休み・・・アンタとちょっとだけ付き合ったことがあったでしょ?あの時人生観が変わっちゃって・・・」
その夏休みは、例の麻美子姉さんのレイプ事件で噂の絶えない実家に戻れない私と、逆に大学から実家に戻ってきたふたばが2人で過ごした夏休みでした。
翌年事故で廃車になってしまうCBX400のタンデムシートにふたばを乗せて自動車学校に通う傍ら、一緒に市営プールの監視員にバイトも一緒にやっていました。
そんな中、ふたばから小学生の頃下宿生からイタズラされて男性不審になってしまっていることを告白され、こじらせてしまっていた処女喪失をやり直したということがありました。
でも、その時地元にあおいという彼女がいた私を気遣ったふたばは、この時の交際を夏休み限定ということにしてくれていて、その最後の日にふたばが私を振るということを決めてその夏休みを過ごしていました。
その夏休み期間、ふたばとは生理期間を除いた期間毎日何回もヤっていたような気もします。しかも夏休みの終わりが近づくとともにそれも激しく・・・。その時のふたばのカラダや髪の毛に残ったプールの塩素の香りの印象が強く、その後しばらくその塩素の匂いを嗅いだだけで勃起してしまう程でした。
今考えればその時ろくに避妊もせず、サルのようにヤりまくってよく妊娠しなかったモノだど思っています。でも、その後成人式の時にふたばに頼まれて彼氏を演じた時は一発で妊娠させてしまってはいましたが・・・
そしてふたばの言う夏休みの最後の日、付き合っていることを感づかれた下宿のおばさんにわざと見えるようにしてふたばは私のほっぺを引っ叩いてその時は終わっていました。
でも、2人で過ごしたそんな夏休みがふたばの人生観というものまで変えていたなんて・・・。
そんなことを考えていた時・・・そのふたばが話を続けます。
「わたしって、教育学部でもないのに教育課程受けてる変わり者って事になってるの。数学極めようとしていながら先生も目指してるって・・・一説には数字フェチの変態って言われてるみたいだけど・・・」
「・・・数字フェチ・・・?う〜ん。その感覚がちょっと分からない・・・」
「わかんないよね・・・乱数表見てるといろんな公式やら方程式が頭を過ぎる感覚って・・・」
「それって・・・絶対変態だよ。」
当然です。一応理系の私ですが・・・・・実は数字関係が苦手でした。そもそも、コレまで大学でやってきた実験などのレポートや論文の作業は、いつもペアになってなっている友人の織田がいろんなデータを拾って解析し、理想的な答えを見つけた後、私がそのデータに基づいて文献を紐解き、さらに理論武装を行うという作業分担をして来ました。
今考えると、私が考えていたことといえば織田が導き出した数値の理論を文章で表現していたに過ぎません。コレって・・・私って・・・本当は文系向きなのかも・・・。
しかも、考えてみれば文章を書くのは少しも苦ではありませんし、ページ数を稼げと言われればいくらだって書き足すこともできます。反面、簡潔にまとめるのが苦手だったりしますが・・・。
そもそも私は望んで理系に進んだわけではありませんでした。言ってみれば気がつけばこの道に進んでいた・・・ということになります。でも・・・これは自分の母さんが仕組んだことなんですが・・・。
この時初めてそんな感覚となっていました。今となってはどうしようもありませんが、理系・文系の悩みはその後数十年考えさせらる事柄となります。
「アンタ・・・なに難しい顔してんのよ!」
私がそんなことで思い悩んでいたところにふたばがそう尋ねて来ました。
「う・・・ん。僕ってやっぱり迷い犬?ここに来てまだ悩み事が増えちゃって・・・」
「アンタってさ、物事・・・みんな言葉で考えるでしょ?しかも小難しく屁理屈考えながら・・・」
「ふたば・・・そりゃ失礼ってもんだ。でも、人って自分を納得させる屁理屈考える生き物じゃないのか?」
「なに?アンタって自分が納得しないと満足しない訳?」
「そりゃそうだろ?一つ納得できないことがあると次に進めない感じじゃない?」
私が半ば言い訳がましくふたばに反論した時そんな時、今までうん・・うん・・と、相槌を打ちながら話を聞いていた舞衣さんが会話に参戦しました。
「社会人になるとさ・・・納得できないことなんて日常茶飯事。納得できないことをやる羽目になることも多くって・・・。自分を納得させるなんてことは到底無理・・・。しかも自分じゃどうしようもできない理不尽なコトばっかり・・・それが社会人ってものなんだよね。」
「じゃっ、舞衣さんはそんな時どうするんですか?」
ちょうど赤信号で止まったそんな時、舞衣さんと助手席のふたばが顔を見合わせてまるで息を合わせるかのようにして言いました。
「・・・ね〜・・・。」
それは二人の声がぴったり合うほど意見が合うみたいですが、私はオトコという生き物です。教育課程で心理学なるものは学んでいましたが、そんな女性の心理なんてものは分かる筈もありません。
「ちょっと・・・二人とも・・・なにが、ね〜・・・なんですか?教えてください!」
2人の会話に乗り切れない私は当然質問しました。それに対して舞衣さんが答えます。
「女の子って・・・単純な生き物の男の子には分からない悩み事っていっぱいあるの・・・」
「いや・・・単純って・・。少なくとも僕にもいろんな悩みぐらいあります!」
そんな私の抗議に対して今度はふたばが反論します。
「そりゃ悩み事なんてみんな抱えてるさ・・・。でも、その悩み事の質とか捉え方がオトコとオンナじゃ違うってことなの。まっ、私もオンナだからオトコの悩みってものは分からない。でも・・・どうしようもない悩みは、甘いものでも食べながら仲良い友達に聞いてもらったり、愚痴ったりすればそれで終了。」
「そ・・・それって、それで終了なの?」
「うん。オンナってさ・・・悩み聴いてくれる友達に自分の思いを打ち明けながら・・・そういう自分のどうしようもない気持ちを口にしながら自分の中で状況を整理する生き物なの。だから聞いている方もその結論に達しなくても、打ち明けている方が自ら整理がついたと思った段階でそれ以上話を掘り下げない。」
「それじゃ結論が出なくてもそれで終了?」
「うん。打ち明けている方が自分で整理できれば結論なんてどうでもいいの。」
「じゃ・・・結論が見えないこともしばしばってこと?」
「だってそうじゃない?そんな悩み打ち明けられても解決できるほど教養もないし偉くもない。できることとすればその悩みを聴いてあげられるだけ。」
「聴くだけって・・・」
「オンナって生き物はそういうもんなの・・・オトコみたいにグジグジ考えたりしない。だって、そんな答えの出ないこと考えてたって仕方ないでしょ?自分を納得させるなんてことは時間の無駄だし精神的に消耗するでしょ?仲良い友達と一瞬でもいいからその悩みを共有できればいいの」
ふたばが言ったその「仲良い友達と・・・」というものは、現代でいう「女子会」かと思われます。オトコってものは、友人なんかに悩み事を打ち明けるなんてことはすごく重いものとなりますが、その女子会とやらでは、みんなでベチャベチャ喋って終わるようなイメージです。
大抵、オトコという生き物は結論を出すことを前提に悩みを打ち明けますが、オンナというものは誰かとその悩みを共有することを目的に悩みを打ち明けるようです。
そんなところが男と女の違いというものなんでしょうか?
私がそんなオトコとオンナのものごとの捉え方の違いについて感心している中、舞衣さんの運転するEP71が高校の駐車場に到着していました。
そして私が駐車場の駐車マスにきちんとに停めたEP71の後部座席から這い出て職員用昇降口へ向かう時、生垣の影から大きな荷物を持ったセーラー服の女子生徒が駆け寄って来ます。
「あっ、優子ちゃん・・・・こんな早くに・・・」
その優子ちゃんは今日から約1ヶ月ほど経過観察のため舞衣さんのアパートに居候することになっていましたが、急遽テスト期間が始まるまでの間についてはふたばが預かることとなっていました。
そしてその優子ちゃんの大きな荷物をEP71のトランクに積み込んでいた時、何かを思い詰めたような表情の優子ちゃんが私の目の前に来て叫ぶように話し始めます。
「やっぱり・・・わたしのことマドカ先生の彼女っていうことにして欲しいんです。もちろん教育実習中だけで構いませんので・・・」
この時、先週この優子ちゃんに「実習期間中は彼女・・・」なんて言ったことを思い出した私は、無意識に隣にいる舞衣さんとふたばの顔を恐る恐る覗いていました。
「まっ・・・いいんじゃないの?先週の事件の話題から生徒達の興味が逸れるかもしれないし・・・。アンタとそういう関係ということにしておけばその話題が蒸し返されることもないでしょうし・・・」
ふたばはそう言うと舞衣さんに同意を得るようにな素振りを見せました。
「まっ、しょうがないわね。高校生と大学生の交際ってどこにでもあるみたいだし・・・避妊さえきちんとしてもらえれば・・・」
舞衣さんはそこまで言うと何かを思い出すようにして「最後の避妊っていうのは余計だった・・」と付け加えています。
「えっ?それじゃ・・・その避妊っていうヤツってやらなくて言いってこと?」
私は顔を赤らめている舞衣さんをそう言って困らせてみました。
すると舞衣さんではなく優子ちゃんがそれに答えました。
「はい。避妊はしなくていいんです。だってわたし・・・まだ生理・・・来てないんで・・・。」
そう言いながら優子ちゃんが顔を赤くしています。
「い・・いや、そうじゃないの。高校生はそんなことシちゃいけないって事。マドカ先生も麻美子さんの演説聞いたでしょ?」
そこで予想外なことを聞かせられた舞衣さんが焦った様子でそう言いました。
「あっ・・そうだった。麻美子姉さんがそういうこと言ってた・・・」
その麻美子姉さんとは私の実の姉になります。その麻美子姉さんが先週急に現れて私のハチロクを引き取りに来た時に話が戻ります。そもそもそのハチロクの車検書上の所有者は姉さんでしたので、私に引き取りの拒否権はありませんでしたが・・・。
そして先週、その麻美子姉さんが現れる直前に起きた実習生によるレイプ事件・・・
それは私と同じく教育実習を受けていた実習生が、舞衣さん担任の1年6組の生徒であるこの優子ちゃんに酒を飲ませてラブホテルへ連れ込んだというものです。さらに事件翌日にはその実習生が一人暮らしをするその生徒宅に押しかけ、今度は媚薬を飲ませて行為に及んでいたというものになります。
そしてそのレイプ事件が噂になりかけた時急遽行われた全校集会でその姉さんが登壇し、現職警察官だった頃担当となった女子高生が風俗で働くハメになった事案を紹介しました。その中で軽々しく性行為をやってはいけないと力説というのがその舞衣さんがいう麻美子姉さんの演説です。
そしてその後様子を見ようとして訪れた優子ちゃんのアパートを訪れた姉さんがたまたま2度目のレイプ現場に遭遇し、その犯人を制圧したというオマケ付きです。
ちなみにその時麻美子姉さんが取りに来た私のハチロクといえば、現在メカニック系アイドルとして雑誌の企画で自分のAE92(カローラレビン)をバラバラにして車体の補強から作業している理央の手元にあります。
でもその車体補強という作業があまりにも地味だったため、雑誌の部数が伸び悩んだ編集担当が白羽の矢を向けたのが理央が過去に組んだエンジンを積んでいるという私のハチロクでした。そんなハチロクは、恐らく今頃馬力測定などされているはずです。
話が外れてしまいましたが、優子ちゃんが私に彼氏になってくれというところまで話を戻します。
「うん分かった。この2人(舞衣さんとふたば)も同意してくれたし問題ないと思う。あとは校内での対応なんだけど・・・」
この時私は、この優子ちゃんと今後どう接して良いものか迷っていました。あまりベタベタするのも好ましくないというかわざとらしいし・・・、そっけなくするのもそれこそわざとらしいし・・・。
この時、そんな私のことを察してか優子ちゃんが助け舟を出してくれました。
「マドカ先生は普通で良いんです。特に私のこと意識しなくても・・・・ただ、彼女って言うのを否定だけはしないで欲しいんです。」
「普通・・・・でいいの?」
「はい。普通で・・・です。恐らく1年生のクラスで私とマドカ先生が付き合ってる的な話題になっているかと思うんです・・・」
「ん?その心は?」
「あの夜、わたしとマドカ先生が買い物に行ったスーパーで隣のクラスの娘がアルバイトしてたんです。レジに並んだ時、隣のレジでレジ打ちしていたその娘と目が合って・・・」
「でも・・・それだけで噂が広まる訳では・・・」
「わたし知ってるんです。その娘ってものすごい噂好きな娘だって・・・」
この時私は今後どのような展開になるのかが容易に想像できました。女子の連絡網の恐ろしさを知っているだけに・・・。
この時代スマホどころかガラケーすら無い時代です。あるといえば一部富裕層が所有する自動車電話か、徐々に普及し始めたポケベルくらいでした。ちなみに先ほど紹介した麻美子姉さんは職場から持たせられた業務用ポケベルを持っていた・・・・そんな時代です。
そんな時代でも女子の連絡網は凄まじいものがありました。コレは私自身が幼少期から何かとお世話になっていた従姉妹3姉妹を見ていて肌で知っていました。
その後・・・実習生控室で翌日の担当授業に使う資料の下絵を描いていた時・・・
「おはようございます。」
急に控室の引き戸が開くとズカズカ教務主任の先生がそう挨拶しながら入ってきて私たち実習生を見渡しています。当然私たち実習生は教務主任の前に一列に並んで直立不動となっています。
「はい・・・ちょっと早いけどみなさんお揃いですね。・・・本日から教育実習の後半戦となりますが頑張って下さい。みなさん初めての教壇ということで戸惑いがあったかと思いますが、先週の経験を生かして自分のイメージに近づけるような一週間として下さい。」
教務主任の先生は一旦そう言う挨拶をすると、今ほどと打って変わった低い口調で本題に入りました。
「えっと・・・先週起きた事件に関してなんですが、今後生徒からいろんなことを聞かれると思います。事件後、当事者の生徒のケアーを行なっては行きますが、その生徒に対するプライベートな部分に関しての情報は一切口にしないこととしますので・・・。」
やはり出ました戒厳令。そして最後にその教務主任が付け加えました。
「何か質問は?」と・・・。
そこで教務主任の前に並んだ実習生がお互いに顔を合わせて「誰か質問しろ・・・」的な雰囲気となりました。そこで名乗りを上げるように返事をしたのがふたばでした。
「はい。豊浜先生・・・なんでしょうか?」
「生徒に詰め寄られた時の対応なんですが・・・」
「その時は全講習会で教頭先生が説明した以外の情報は分からない。学校からは何の情報も得ていないと答えてください。」
生徒からその「事件」について尋ねられたときはそう答えるしかないと私自身感じていました。でも、先ほどその当事者から聞かせられた「私との関係」についてどう対応すれば良いのかは思案中でした。
「あの・・・」
私がそこまで言いかけると教務主任は私に鋭い眼光を向け「何かあります?風谷先生」と切り出しました。
「私と、その・・・生徒の一部に僕と小笠原さん(優子ちゃんのこと)が付き合っているという噂が流れているみたいなんですが・・・。」
「あっ、その噂は把握しています。それについては否定しないでください。もし聞かれたときは・・・う〜ん。そうね、懐かれているとでも答えてください。なお、風谷先生には結婚前提の女性の存在もあります。恐らく生徒たちはそれも知っているかと思います。」
「それじゃ僕はどうすれは・・・」
「だから・・・否定はしないでください。世間一般的には二股ということになりますが、生徒たちの関心が事件のことではなくそちらに向けばそれはそれで結構です。」
「いや・・・高校1年生と教育実習生の関係です。それでも良いというのは・・・」
「これは戦略的な誘導となります。生徒の関心をそちらに逸らすことができればそれはそれで良いのです。これは決してフェアなやり方ではありませんが、政治家がマスコミを使って行う割と一般的な手法ですので気に病まないで下さい。」
こう言い残して教務主任の先生が実習生の控え室を後にしました。ピシャッと閉められた引き戸の外の廊下からはカツカツカツ・・・と硬い靴底の足音が遠ざかっていくのが聞こえています。
「アンタ・・・どうすんのよ?」
静寂に包まれていた控室の中で、真っ先に言葉を発したのはふたばでした。
「どうするって・・・そうするしかないんじゃない?」
私はふたばにそう答えたものの、この先どうして良いものかなんて分かりません。
この後、実習生が職員室に集められた中で職員会議が行われました。でも、そのどうして良いのかわからない私のメモ帳にには鉛筆が走らず、結局何を話しているのか右から左に聞き流すことしかできません。
そして次に行われる全校集会の会場である体育館に向かう際にすれ違った際に「おはようございます・・・」と挨拶を交わした女子生徒と目が合いました。
私はすれ違った後気になって振り返りましたが、その女子生徒はいつの間にか数人の集団の中にいて全員が私を見ていて何かこそこそ話している様子であることが分かります。
「う〜ん・・・。ちょっと厄介なことになってる?」
さらには体育館へ通じる渡り廊下を歩いていると、突然右腕に誰かが絡みつくように抱きついて来ました。
私は驚きながらその右腕を見ると優子ちゃんが所属する放送部の部長です。その部長が腕にぶら下がりながら口を開きました。
「わたし・・・進路決めたの。麻美子お姉さんの近くに行くの・・・。そして、お姉さんの妹・・・マドカ先生のお嫁さんになる!」
「あっ、矢萩さん・・・急にそんなこと言われても・・・」
そんな私のことはどうでもいいとばかりにその矢萩さんは私の背中をバチんと力強く叩くと廊下の角まで走って行きそこで立ち止まりこちらを向いて叫びました。
「あきらめないから〜」・・と。
そしてその矢萩さんの近くにいた友達から「いぶきったら・・・」とか「本当にアンタって娘は・・・」なんて言われながら両脇を抱えられるようにしてどこかへ連行されて行きました。
そして、その後体育館の中で先生達の後ろに整列した時のことです。
「ん?アンタ背中になんか着いてる・・・」
ふたばはそう言いながら私の背中からそれを取ると大きなため息を吐きました。
「アンタ・・・また悩み事一つ増えたよ。」
そのふたばが背中についていたものを手に取り私に見せました。それはな単なる赤いハートのシールでしたが、それは以前放映されていた全96話に渡るアニメの作中、教育実習生だった主人公に恋心を抱いた女子高生が告白するやり方・・・。
しかも、先ほど私の背中にシールを着けた生徒とその作中の生徒が同じ名前と来ています。コレって偶然?・・・。
う〜ん・・・。ここに来て女子高生に言い寄られることが多くなっています。今まで女性に言い寄られたことなんて少しもなかった私ですが・・・・そりゃ今となっては男子の実習生は私1人となっています。それで目立つのはわかるのですが・・・。
でも、私は知っていました。そんな恋心も教育実習の終了とともに終わることを。
コレは前に教頭先生に言われたことでではあるのですが・・・。こういう状況に1週間耐えれば良いんです。ちょっと本来の教育実習の趣旨とはズレてしまうような気もしますがこれも教育実習に含まれるということにして納得しました。
その後開催された全校集会では、来週の期末試験に向けた生活態度や今週の短縮授業及び部活動の時間短縮などが説明され、その中でも夜の繁華街を出歩くことのないようにという注意も強調されていました。
そして、その最後に本日付で非常勤の外部講師が着任するということが伝えられましたが、あまり興味のなかった私は自分には関係のない話として処理していました。でも、後で考えるとそれこそが私の重要事項だったようです。
そんな集会の後実習生控室に戻る途中の廊下を歩いていると、すれ違う生徒達がそれぞれ軽く会釈をしながら歩いています。
そして1年生の教室近くの階段を登ろうとして角を曲がった時のことでした。
「キャッ・・・」
突然後ろ向きに歩いていた女子生徒とぶつかって、その華奢な身体が弾かれるように倒れそうになっています。
その生徒は友達数人と話に夢中になっていたこともあり全くの無防備状態だったようです。
そこで私は倒れそうになったその生徒の手を咄嗟に掴みましたが、その瞬間その生徒の横顔から一瞬血の気が引いていたのだけは分かりました。
それもそのはずです。不意打ちでも食らったかのような衝撃で跳ね飛ばされたんですから・・・。でも次に手首を引き上げ腰に手を回して倒れるのを抑えた時その耳が真っ赤になっているのが分かりました。しかも掴んだ手首の頸動脈からその早い鼓動も伝わってきます。
「大丈夫?」
私は掴んだその手を引き揚げるようにしてさらには倒れかけたその女子生徒の腰に手を回して問いかけました。
「あ・・・ありがとうございます。・・・マドカ先生。」
なんと、その女子生徒はあの優子ちゃんではありませんか。どおりでその手首、その腰、その体重加えその汗ばんだ首筋から漂う体臭にも覚えがあったわけです。
「あっ、優子・・・いや、小笠原さん・・・」
そして、今度はそのままの体勢で一瞬固まったところで周辺のザワつきに気づきました。これは誰がどう見ても廊下の角という大衆の面前でセーラー服の女子高生と教育実習生が抱擁しているとしか見えません。しかも今噂のその2人・・・。
なんという偶然でしょうか?その運命的な出来事に頭の中が少し混乱をきたしていましたが「ヒュー・ヒュー・・・」なんて揶揄する雰囲気に我に帰りながら優子ちゃんを立ち上がらせると、その優子ちゃんは顔を真っ赤にしながら深くお辞儀をして教室の方に向かって走っていってしまいました。
「う〜ん・・・。ちょっと火に油どころかガソリンでもを注いでしまった?」
そんな感覚となったまま実習生控室に戻り明日の資料作りを再開ところにホームルームを終えたふたばが帰って来ました。
私は今渦中の人となっていますので「とりあえず朝のホームルームは出なくていいから・・」と土木担任の佐藤先生から伝えられており一足先に控室に戻っていました。それに、その他ほとんどの実習生は直接担当教室に向かっているようでしたので控室には私1人となっていたところです。
そんな2人きりの控室でテーブルに向かってスケッチブックを開いて教科書と睨めっこしている私の目の前のパイプ椅子にドカっと腰を下ろし、さらに足を組んだ状態でそのふたばがスカートの裾を正しながら何かを考えていました。
そして私がその組んだ足の膝下が長い事に感心していると、そんな私に向かってそのふたばが問いかけました。
「アンタさ・・・。コレでいいの?」
「えっ?ふたばの足がどうかしたって?。」
「違う!アンタ朝から何考えてんの!」
「ん?ごめん・・・ちょっとふたばの足で興奮してる・・・」
「ソコじゃない!あの優子ちゃん・・・優子ちゃんとのことだよ。」
「あっ、そっちね・・・うん・・・良くはないけど、そうするほかないと思うんだけど・・・」
「そっち・・・ってどっちよ?さっき公衆の面前でその優子ちゃんと抱擁してたんだって?・・・アンタもやるわね・・・」
「それは事故。確率にすると天文学的確率になると思う・・・」
「そうよね。生徒の数って確か千人超えてたから単純に言って千分の一。でも、そこで二人が出会う条件・・・しかもすれ違うだけじゃなくってぶつかって抱き合うっていうと・・・どんなファクターが必要になるのかしら・・・ちょっともう少し条件設定が必要ね・・・・」
「なあ、ふたば。そんな難しい顔して・・・・もしかしてそういうことになった確率なんて計算してた?」
「うん・・・。だって、いろんな要素があって・・・いく通りの計算があるのか考えるだけでも楽しくない?」
「ふたば・・・。言っていいか?それって数字フェチの計算バカじゃないのか?つまり変態。」
私にそう指摘されたふたばは大きく深呼吸して私をじっと睨みました。
「変態で結構!わたし・・・その変態ってヤツとことん追求してやるから・・・」
「でも・・・自分一人で追求しても勿体無いから、ソレを生徒に還元することも忘れずに・・・・」
「うん。ソレが一番重要かもね・・・。でも、さっきその天文学的な確率で遭遇した事件はいいけど・・・」
「あっ、優子ちゃんとは当面彼氏と彼女の関係ということにしておいて・・・」
「でもさ・・その優子ちゃんと小林先生とで共同生活始まるんだよ。アンタ・・・ソレ耐えられる?そんな環境での生活・・・」
「ふたば・・・なんか忘れてないか?そもそも僕って女系家族で育ってるんだぞ・・・」
「うん。ソレは分かってる・・・でも、ソレって家族親戚の話でしょ?小林先生はアンタの義理のお姉さんになるからまだしも、優子ちゃんは全くの他人・・・・。ソレって犬の鼻先にドッグフードおいておくようなものじゃない?しかも缶詰の美味しいヤツ。」
「なあ、ふたば・・・。せめてライオンにでもしててもらえないか?・・・・犬ってことは、よだれ垂らして待てされてるようなイメージ・・・」
「でもさ、あのちっちゃいアンタの彼女・・・・そんな関係どう思う訳?その彼女の気持ちはどうなのよ?」
「うん・・・マコちゃんも分かってくれると思うんだけど・・・」
「だけど・・・ってことは、鈍感なアンタでも引っ掛かるところはあるんだ・・・。」
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(2020年05月28日)
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