官能小説・エロ小説(約 10 分で読了)
妻を見せ合う男たち(2/2ページ目)
投稿:2026-05-12 21:43:31
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本文(2/2ページ目)
劇場みたいな人の多い場所歩いても、
夜道を二人で歩いても、
あの日みたいな、酔うたような気持ちにはなれへんかった。
うちをざわざわさせてるんは、写真だけやない。
直子さんその人やったんです。
あの人も、うちみたいに、お芝居してはるんやろか。
それともほんまに、あないな艶っぽうて、いやらしい女になっていってはるんやろか。
そう考えると、
うちも、あないになってみたい。
そう思うてしまう。
それが恐ろしゅうて、嬉しゅうて。
気ぃついたら、
大好きやったはずの寺田さんより、
直子さんのこと考えてる時間の方が長うなってしもてたんです。
「やっと来てくれはった。」
直子さんは、そう言うて笑わはった。
「ええ、やっと。」
うちはそれだけ言うので精一杯でした。
「男の人ら、また妙なこと企んではるみたいやわ。」
「妙なこと?」
「うちにな、ほかの男と寝る心づもりしといてくれ、言わはるん。」
うちは息呑んでしもた。
「……それやったら、うちもです。」
「そらそうやろねえ。」
直子さんは、なんや困ったみたいに笑うてはる。
「寺田さんやったら、まだええのよ。せやけど、そのうち他の男まで連れて来られたら、ちょっとねえ。」
「それで……どうしはるおつもりですの。」
「言うことくらい、聞いたげてもええかな思うてる。」
そう言うてから、直子さん、うちの顔覗き込むみたいにして、
「せやから、佐登美さんの気持ち、聞いときたかったん。」
うちは思わず笑うてしもた。
「もっと別のご相談かと思うてました。」
「驚いた?」
「もう、今さら少々のことでは驚きません。」
「ほんま、困った話やわ。」
「まあ……旦那さまの為ですし。」
「それに。」
直子さん、少し声低うしはった。
「こっちも、満更やないものね。」
その言葉聞いた途端、うち、胸がいっぱいになってしもて。
気ぃついたら、
「うち、旦那より直子さんの方が好きやわ。」
そう言うてしもてたんです。
直子さん、目ぇ丸うしはった。
「まあ、何言うてはるの。」
「……ごめんなさい。つい、本音出てしもた。」
うちは俯いてしもた。
「うち、直子さんみたいになりたいんです。」
「いややわ。」
直子さんは笑うてはったけど、その声は優しかった。
「そない言うてもろたら、嬉しゅうなる。」
「ほんまです。」
「せやけどね、女同士で好き好き言うてるだけでは、済まへんのよ。」
「わかってます。」
うちは小そう笑うた。
「身も心も、いうことやろ。」
夜具へ入ってしもてから身体寄せ合うてるだけで、相手の熱や匂いが伝わってきて、なんや胸の奥がじんわりしてくるんです。
直子さんの髪には、ほのかに白粉の匂いが残っておりました。
うちはそれが妙に好きで、肩口へ顔寄せては、子どもみたいに笑うてしもた。
「いややわ、くすぐったい。」
直子さんはそう言いながらも、逃げはりません。
指先が触れるたんびに、
「あ……。」
とか、
「そないなとこ、触ったらあきまへん。」
とか、小さい声漏らさはる。
その声聞いてるだけで、うちは身体の奥が熱うなっていく。
お互い、相手の身体を眺めては、
「綺麗やね。」
「佐登美さんの方が若うて張りがあるわ。」
そないなこと言い合うて。
まるで鏡見てるみたいに、触れたところから、自分まで変わっていくような気ぃがしたんです。
時間なんか、とうにわからんようになっておりました。
笑うたり、
黙り込んだり、
急に恥ずかしなって夜具かぶったり。
そないなこと繰り返してるうちに、うちら、もうすっかり二人だけの世界へ入り込んでしもてた。
女同士いうのは不思議なもんで、
黙って抱き合うてるだけでは済まへんのです。
「そこ、どないしたらそない綺麗になるの。」
とか、
「うち、そんな顔してた?」
とか、
触れながら、見つめながら、ようけ喋ってしまう。
欲張りなんやと思います。
嬉しいことも、恥ずかしいことも、みんな分け合うて、もっと深うなりたなる。
しばらくしてから、直子さんがぽつり言わはった。
「男の人ら、これからどないするつもりやろね。」
うちは思わず笑うてしもた。
「もともと妙なこと言い出したん、あちらやおへんか。」
「せやねえ。」
直子さん、肩震わせて笑うてはる。
「少しくらい、付き合うたげてもええかもしれへん。」
「きっと喜びはりますやろね。」
「せやけど。」
直子さんは、急に静かな声にならはった。
「これからも、うちらが続いていく為には、必要なんかもしれへんわ。」
その言葉聞いて、うちは胸がちくりとした。
男の人らの望みを叶えることが。
うちら二人で居続ける為の条件みたいに聞こえたんです。
「……我慢しましょか。」
そう言うたら、直子さん、ふふっと笑わはった。
「あんまり無理しすぎんようにせなあかんよ。」
その声が、妙に優しゅうて。
うちはまた、直子さんの肩へ顔埋めてしもたんです。
有馬温泉
直子と佐登美は温泉へ。
男二人だけでビールを飲んでる。
女は長湯で男は烏の行水。
二人は昔みたいに妻の写真見せ合う。
でももう反応が違う。
妻たちは今、
「見られる側」
ではなく、
自分の意思で、
自分たちの世界を持ってる。
写真の中の目線も、
男を見てない。
主人がぽつりと、
「……なんや、置いてかれてしもたな。」
と言う。
寺田が笑う。
「部長が始めたんでしょう。」
主人も笑う。
「ほんまやなあ。」
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(2020年05月28日)
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