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忘れられない、ある冬の朝。

投稿:2026-06-06 12:14:22

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美空◆QYaGBRE

もう10年以上前の出来事です。

時間が経った今でも、ふとした瞬間に思い出すことがあります。冬の冷たい朝の空気や、通勤・通学ラッシュの電車を見るたびに、あの日の記憶がよみがえってくるのです。

当時、私は神奈川県の郊外から都心にある大学へ通っていました。毎朝早起きをして、満員電車に揺られながら通学するのが日課でした。決して楽な通学ではありませんでしたが、それが当たり前の毎日になっていました。

その日は朝から電車が遅延していました。ホームにはいつも以上に人があふれ、駅員のアナウンスもどこか慌ただしく聞こえました。乗り換え駅に着くと、人の流れに押されるように対面ホームへ移動し、到着した電車へ乗り込みました。

車内は息苦しいほどの混雑でした。肩と肩がぶつかり合い、身動きひとつ取れない状態です。私はその時、お尻のあたりに何となく違和感を覚えていました。しかし、満員電車では他人との接触は珍しくありません。最初は気のせいだろうと思っていました。

ところが、電車が発車してしばらくすると、その違和感が偶然ではないことに気付きました。

痴漢でした。

頭では理解したものの、身体は思うように動きませんでした。周囲には大勢の乗客がいて、声を出そうにも喉が詰まったようになり、何も言えませんでした。「やめてください」と言うべきなのに、その一言が出てこないのです。

恐怖と混乱で頭の中が真っ白になりました。

その日は運悪くミニタイトスカートを履いていたのです。ストッキングも履かず生足でした。)

「あぁ、いやだ…痴漢だ…」と思いつつも、怖くて声も出せず、抵抗もできませんでした。

しばらくショーツ越しにお尻を触られていましたが、抵抗しないのをOKサインと思われたのか、その痴漢はあろうことかショーツの中に手を入れてきたのです。

これまで幾度となく痴漢されてきましたが、どれもおしりを軽く触ったり、すごいのでもスカートの上から手マンをするように触ってきたくらいでした。

生で触られたのは初めてで、びっくりしたやら、正直ドキドキもしました。

時間にすればほんの数分だったのでしょう。しかし私にはとても長く感じられました。次の駅はまだか、早く着いてほしい。そんなことばかり考えていました。

一方で、自分が抵抗できないことへの戸惑いもありました。なぜ声を上げられないのか。なぜ逃げられないのか。そんな自問自答が頭の中を巡っていました。

そんなことを考えていると、痴漢の手はおしりの割れ目から私の一番敏感なところに回ってきました。

指でクチュクチュとかき回され、情けないことに私は軽く達してしまいました。

やがて目的の駅が近づき、ドアが開いた瞬間、私はほとんど反射的に車外へ飛び出しました。振り返る余裕もありませんでした。ただ人混みの中を足早に歩き、その場から離れたことだけを覚えています。

大学に着いた後も気持ちは落ち着かず、授業中もどこか上の空でした。誰かに話そうかとも思いましたが、結局その日は誰にも言えませんでした。

今になって振り返ると、あの時の私は被害者だったのだと改めて思います。同時に、人は突然の出来事に直面すると、必ずしも映画やドラマのように行動できるわけではないのだとも感じます。声を上げられないこともあるし、身体が固まってしまうこともある。それは決して珍しいことではありません。

あの日の朝は、私にとってただの通学風景ではなくなりました。10年以上が過ぎた今でも、満員電車の匂いや冬の冷たい空気に触れると、あの時の感覚がふと蘇ることがあります。

忘れたいのに忘れられない。

そんな冬の日の、今でも記憶に残り続けている出来事です。

-終わり-

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