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またやってしまいました。イオンの立体駐車場で

投稿:2025-08-16 23:30:00

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佐藤綾乃◆F3cJeEA

「はじまりは、イオンの立体駐車場」

ユニクロのタイトスカートと、アツギのサポートストッキング。

ただの買い物帰りだったのに、下着を着けていない自分に気づくと、スカートの裾をわずかに持ち上げるだけで全身が熱くなった。

……誰も見ていないのに「誰かに気づかれているかも」という妄想で頭がいっぱいになり、バッグに隠したローションを指にとってしまった。

あの瞬間から、私はもう止まれなくなっている。

「駅前のセブンイレブン裏で、マスク姿のまま」

マスクとサングラスをしていると、自分じゃないみたいで大胆になれる。

駅前のセブンイレブン裏手、人通りの少ない自販機の陰。

上着のボタンをひとつ外して、胸元を少し覗かせただけなのに、通りすぎた大学生の視線が一瞬止まった。

「見られた…」そう思った瞬間、足が震えて、コンビニ袋を持つ手が汗で滑った。

怖いのに、またやりたいとしか考えられなくなっていた。

「ジョーシン東大阪店のトイレで、限界を試す」

ついに屋内に踏み込んでしまった。

ジョーシン鴻池の二階トイレ。マスクとサングラスにキャップ。完全に顔を隠しているのに、心臓が壊れそうなくらい暴れていた。

個室に入ってストッキングの上から指を這わせただけで、もう戻れなくなる。

誰かが入ってくるたび、息を止めて…それでも手は止まらない。

「バレたら終わり」——そう思えば思うほど、止められなくなっている。

「次は昼間のイオンで…?」

気づけば毎週のように同じ地域を徘徊している。

イオン、駅前、ジョーシン。

行けば行くほど、もっと大胆に、もっと危険なことを、と考えてしまう。

今日は下着すら着けていない。

マスクとサングラスに隠れているけれど、私が誰かはもう関係ない気がしてきた。

「次は昼間のイオンで」

そうつぶやきながら、私はまたストッキングを履き替えている。

「イオン・夏祭りイベントのステージで」

今日は本当に偶然だった。

イオンの夏祭りイベント、買い物帰りにふらっと覗いただけのつもりだったのに…。

司会者が「そこのマスクの女性!」と指を差し、私はクイズコーナーの解答者に引っ張り上げられてしまった。

上着は羽織っているけれど、中はノーパン・ノーブラ。

ライトの下で立っているだけで、自分の秘密が透けて見えている気がして足が震える。

「簡単な問題ですよ、さあどうぞ!」とマイクを向けられても、頭が真っ白で答えが出てこない。

観客がクスクス笑っている。

「どうしたのかな?」司会者が促すたびに、胸の鼓動が爆発しそうになる。

本当は知っている答えなのに、声が出ない。

ステージの上に取り残され、皆の視線を浴びながら、私はただ汗をかき、震えていた。

ばれたらどうしよう。

ばれなくても、もう引き返せない。

「ライトの下で、もう隠せなくなって」

イオンの夏祭りイベント。

クイズに答えられないまま「じゃあ次の問題!」と繰り返され、私はわざと間違え続けてステージに残っていた。

本当は知っている答えなのに、口が動かない。

「もっと見てほしい」と心の奥で願っていたのかもしれない。

そのときだった。

照明の角度が変わり、私の上着の隙間から胸元の影が浮かび上がった。

ざわっ……と観客の空気が変わる。

「え?」「まさか…」と男性たちの視線が集中する。

ノーパン・ノーブラ。——NPNBがバレてしまった。

逃げ出したい。

でもマイクを握られ、ライトを浴びている身体は金縛りのように動けない。

ステージを降りる合図が出たとき、私は救われるはずだったのに——。

階段を降りた瞬間、スマホのカメラが一斉にこちらを向いた。

シャッター音の砲列。

顔はマスクとサングラスで隠しているのに、全身が裸同然で晒されている感覚。

足がすくんで動けない。

それでも私は、レンズの嵐を浴びながら、一歩一歩ゆっくりと出口に向かって歩いていた。

「振り返ったとき、私はもう隠していなかった」

出口へ向かう足は震えていた。

スマホのカメラの音が途切れずに続いて、光の雨が私を追いかけてくる。

必死に俯いたまま歩こうとしたけれど、ふと足が止まってしまった。

振り返ってしまった。

見なくていいはずの観客の顔を、視線の嵐を、正面から受け止めてしまった。

その瞬間、気づけば自分の手がマスクの紐を外し、サングラスを頭の上に押し上げていた。

「誰かに見られている」ではない。

「私を見てほしい」と全身で叫んでいた。

ざわめきが歓声に変わり、シャッター音がいっそう激しくなる。

もう逃げられない。

でも、逃げたいとも思わなかった。

ライトの残像に目がくらみながら、私は観客に微笑んでいた。

そうすることしか、できなかった。

「“大東の痴女”と呼ばれて」

あの日のステージの画像が、気づけばネットに拡散されていた。

マスクを外したはずなのに、誰も私を特定できない。

でもコメント欄には「大東の痴女、再登場希望」「脚が綺麗すぎる」「次はもっと見せて」と書かれていた。

その文字を読むだけで、心臓が熱くなる。

「脚が綺麗だ」と言われたのが嬉しくて、つい高いピンヒールを買ってしまった。

家に帰ると、鏡の前でミニスカートをたくし上げ、パンストを直穿きした脚を何度も見つめた。

スカートの中から伸びる内腿には、すでに濡れた跡が広がっている。

——もう止められない。

私は画面の向こうで待っている人たちに、次はどこで会いに行こうかと考えている。

「深北緑地公園のトイレで」

あの日のステージを抜け出して、必死で走って逃げ込んだのは深北緑地公園。

胸の鼓動は収まらず、汗でパンストが脚に貼りついていた。

人気のない女子トイレに飛び込んで鏡を見たとき、自分の姿がまだ震えているのが分かった。

そのとき、隣の個室から扉が開いた。

制服姿の高校生……けれど、口紅を引いて、スカートを履いていた。

驚いて固まった私に、彼は一瞬うろたえたけれど、すぐに小さく笑った。

「……見られたいけど、バレたくないんですよね」

その言葉に、胸がぎゅっと締めつけられた。

誰にも言えない秘密を、偶然出会ったこの子は同じように抱えている。

鏡に映る二人は、どちらも震えていた。

でもその震えは、怖さと同じくらい、安堵でもあった。

言葉は少なかった。

ただ互いに「わかる」という視線を交わしたまま、静かにトイレを出ていった。

背中に残る余韻は、ネットのコメントよりもずっと熱く、そして優しかった。

-終わり-
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