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体験談(約 36 分で読了)

【評価が高め】キモオタデブだった俺が、数日前に21才で童貞を卒業した話しを聞いて欲しい。(1/4ページ目)

投稿:2020-10-21 02:40:24

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本文(1/4ページ目)

中川優太21才◆F5gziUA(埼玉県/20代)

まず最初に声を大にして言っておく。童貞の奴らは心して聞くように!

準備いいか?ハッキリ言っちゃうぞ?

洗ってないマンコは臭い!マジで臭い!

ケツの穴も臭い!ちゃんとウンコ臭い!

俺はビビったね。チンコだって臭いが、1日やそこらであそこまで臭くならん。

マンカスやらチリカス、肛門なんて完全にウンコの匂い。おい、これマジだぞ、女もウンコしてるんだよ、しかも臭~いヤツ。

だがしかーし!駄菓子菓ー子!

二次元と違って生々しさを感じるぞ~凄いんだぞ~臨場感ハンパねーぞぉぉ。

乳首ってホントに起つの知ってるか?ツンて硬くなるんだぞ?コリコリなんだぞ?

そんでな、愛液ってマジで出る。エロゲの世界だけじゃねーんだよ。それが糸引いてて超エロい!クチュって音すんのもホント。

こんなの実際に体感したらな、臭いのなんてむしろ御褒美。これが嘘偽りの無いリアルな女の体だぁぁああーッ!ヒャッハーッ!

こんな感じになるぞ。もう俺だけ世紀末、世紀末覇者オレって状態になること必至。

よーし、そんじゃそろそろ教えてやろう。

コミュ症デブオタで童貞だった俺が、如何にしてリアルSexに至ったのか、その経緯とテクニックを伝授しようじゃないか。

・・・って、いや、すまん。ホントごめんなさい。調子に乗りました。正直、とにかく誰かに話したいだけなんです。

この喜びと感動を、誰かに聞いて欲しいんだよォォおおおーーっ!でも俺、友達いないんだもんさぁぁあーッ!オロロ~ン。

ハァハァ…ハァハァ……ハァ…ハァ…ハァ…。

つーことで、この投稿を開いてしまったのは運命だと諦めてお付き合い下さい。

「ジャジャ~ン!ちょっと待て、タイムマシーンで14933文字後の俺が参上!いいか?初体験はこの文字数からだぜ!さらば!」

・・・だ、誰だよ今の……ま、まぁいいか。

俺こと中川優太の、聞くも涙、語るも涙の童貞卒業エピソードが始まりまーす。

18才だった俺は、高校を卒業してもアニオタのエロゲ好きを全力疾走してた。

リアルの女子なんかには興味も無ければ必要なし。俺の恋人はPCの中に沢山いた。

働けと親がうるさく言うのでスーパーでバイトして、稼いだ金はグッズやらゲーム課金に全て注ぎ込む。それを半年くらい続けてた。

スーパーでバイトと言ってもレジじゃないぞ、あんなの俺には不可能な所業。俺のレジだけネズミーランド状態に並んでしまう。

俺がやってたのは品だし。少なくなった商品を補充するという、とてもとても重要な係。

それを週4で1日5時間くらいやって、部屋に帰ったら恋人たちとの戯れタイム。モテモテの俺は、可愛い女の子を選り取り見取り。

1日に何人もデートして、その後にアニメのチェック。アニメ評論家の自称を持つ俺としては、細部まで分析することを怠らない。

簡単に説明すると、これが当時の日常。

そんな俺に転機が訪れたのは、恋人の1人と誕生日をお祝いしてる時だった。

用意したケーキのロウソクに火を灯し、明かりを消してBIRTHDAYソング。2人だけの幸せな時間、感動の記念日。

フーッと1人でロウソクの火を消して、照明のリモコンを押したが明かりが点かない。

電池が切れ掛かっているのを騙し騙し使ってたんだが何度やっても反応なし。仕方なく立ち上がって壁のスイッチで電気を点けた。

そん時にな、ふと思ったんだよ。

・・・・・・な、なんだよこの空間。

PCの画面には女の子の映像。その横に置かれたフィギュアとグッズ。そして、火の消えたロウソクが立ってるホールケーキ。

血の気がサーッと引いていく感じがして、フラフラっとベッドに入って恋人を抱いた。

・・・ってこれ、ただの抱き枕じゃん。

なんだよおい!女の子のキャラがプリントしてある、ただの長い枕じゃねーかよッ!

そう感じたらマジで怖くなった。俺の信じていた物が、全て客観的に見え始めた。

とにかく寝てしまおうと思ったけど寝付けない。大得意なキャラしりとりをしても、頭に浮かぶのは映像としての無機質な女の子。

いつ寝たのかも分からないまま朝を迎え、ボーッとしながらバイトに行った。

バイト先には佐藤さんがいる。あの人と話せば元に戻るだろうという希望の存在。

佐藤さんは凄いんだぞ。俺と同じ世界に住んでるのに社員になって発注までしてる。

35才独身。全ての給料をグッズとゲーム課金に注ぎ込む豪の者。俺としては神的な位置に君臨している人で、まさに人生の師匠。

「とりあえず試しに5万は課金でしょ。」

このセリフ、このブレない感じが俺に勇気を与え、そして尊敬の念を抱かせてた。

開店前の忙しい時間。

俺が声を掛けるより先に、佐藤さんの方から近くに寄ってきた。

「中川君、さてはキミ、昨夜の最終回に納得がいっていないとお見受けするが?」

さすが佐藤さん、いきなりソコを突いてくるとは…。だったら問答無用、こちらも容赦しませんぞ、さぁ戦争といきましょう!

「納得がいかない?……それは違いますね。自分としては、最終回に納得を求めること事態がナンセンスだと考えていますからね。」

アニメ持論をぶつけ合う激しい攻防戦。これが俺と佐藤さんの日頃のやり取りで、とても有意義でテンションの上がる一幕。

「ほほう、それは失礼。そうですね、中川君は素人さんじゃないですからね。でしたらプロの意見を聞かせて貰えますか?」

なるほどね、今日の佐藤さんは煽ってきたか。さてさてどうする、この見え透いた罠。…フフッ、誘いに乗るのもまた一興か。

「そもそもの前提が間違っていると自分は考えていますけどね。考察すると10話目、あれが真の最終回だと認識してますが?」

佐藤さんの前提を覆し、アニメの途中を最終回だと言い切った俺。どうよこれ、この分析力と考察力。さぁ佐藤さん、きなよ。

おい、そこのパートのおばちゃん。この上級者同士のハイレベルな攻防が分かるか?

・・・ま、わかんねーよな。

佐藤さんと五分に渡り合う凄さ、それもまた悲しいかな、理解は遠く及ばねーだろうな。

・・・と、それまでは思ってた。

佐藤さんとアニメ談義で1歩も引かない俺ってスゲーッ!かっけーッ!てな。

でもこの日は違った。熱く語り合う俺と佐藤さんが、店の天井から客観的に見えた。

周りでは忙しそうに働くパートさん。チラチラ俺たちを見てるのは、カッコいい!じゃなくて凄い駄目!という軽蔑の眼差し。

佐藤さんが社員だから何も言えないだけで、心の中じゃ「死ね!」を連発。

は…は…恥ずかしぃぃいいいーーーッ!!

な、な、なにやってんの俺、バカなの?アホなの?死ぬの?爆発して死ぬの?

「中川君は10話目か……それは少し勇み足とも取れる意見だね。まぁ貴重な意見とも言えなくは無いけど、まだまだ考察が甘いよ。」

えっ?何なのこの人。この忙しい状況で何を冷静にマウント取りにきてんの?しかもアンタ、なに1つ明確な反論してねーし。

佐藤さんが人生の師匠?この人が?

いやいや、むしろ人生の支障、俺の人生に死傷を与える存在じゃねぇーかヨ!

うぎゃァァあああアアアーーーッ!!

なにこれ?なにコレ?パリコレぇええーッ!まさにパリコレ珍百景!な、なんだそれは?!大丈夫だ、俺だって意味わからん!

話を続けてる佐藤さんを遮って、焦りまくりで皆に合わせて仕事を始めた。

周りが見える、客観的に見えてしまう。

それまではマイペースでやってた品だしが、周りと比べて泣きたくなるほど遅いペースだったと気付いてしまった。

駄目じゃん俺……超ヤバい奴じゃん。

自己嫌悪に陥りながら、とりにかく仕事を終わらせて戻った自分の部屋。

部屋の至るところにある、アニメやエロゲのキャラグッズが気持ち悪く見えた。

吐き気がして洗面所に向かい、顔を洗おうとして鏡に映った自分の姿・・・醜い。

寝癖がついたままの髪、大量のフケが溜まった肩、そしてブヨブヨに太った顔。

焦って肩のフケを払って寝癖を直す。頬っぺたを吸って顔を細くしてみた。

何も変わらない、この醜いブタ人間が俺。

しかも仕事をサボッてアニメ談義で俺ってカッコいいだとか、見た目だけじゃなくて性格まで醜く歪んでるときたもんだ。

そう、本当に気持ち悪いのは、部屋にあるキャラグッズじゃなくて自分自身だった。

何とかしなきゃと思ってな、気付いたら近所にある大きな公園の外周を歩いてた。

自分でも意味わからん、とにかく居ても立ってもいられなかったんだよ。

近くを歩いてる老夫婦が孫の話しをしてる。おいコラ、ジジイ、ババア、邪魔だよ退けって今までなら思っただろうが全く違った。

こんなヨボヨボの爺さんも婆さんも、恋愛してSexして結婚して子作りして真っ当な人生を歩んでる。・・・俺、負けてんじゃん。

19才でコールド負け。いやもうマジで手も足も、チンコなんて1cmも出なけりゃ使い方すら知らないんですよ俺って奴は。

爺さん頼む、俺に人生の歩みかたを教えてくれよぉ。どうすればいい?どうやったら爺さんみたいに笑顔で歩けるようになる?

マジで泣けた。なんか爺さんと婆さんを見てたら本気の涙がポロポロ落ちてきた。

あっ、ちょっと嘘。半分は汗だったな。

泣きながら、何か行動を起こさなきゃ駄目だって、これだけは確信してた。

先に言っておくが、俺のコレクションに罪は無い。これは俺個人のケジメであって、今でもその趣味を尊重してるよ。

日本が世界に誇れる素晴らしいコンテンツだと思ってる。でも俺は、性格として駄目なんだよ。そこに逃げ込んでしまうから。

部屋に戻ってゴクリと唾を飲み込んで、アニメグッズや雑誌、とにかく関連してる類いをゴミ袋に投げ込んでいった。

何事かと思って飛んできた母ちゃんが、その様子を呆気に取られたように眺めてた。

「……ど、どうしたの?それ、アンタの大切な物なんでしょ?捨てちゃっていいの?」

少し触れただけでも激怒してたから、母ちゃんが驚くのも無理はない。

「いいんだよ、もういらね。それよりさ、ダイエットすんの手伝ってくんない?」

うちの母ちゃんが甘いのか、俺がそれだけ酷いことをしてきた結果なのか知らんけど、この一言で母ちゃん涙。釣られて俺も涙。

ここからのBGMは、ロッキーのテーマ曲でお願いします。知らなきゃ映画を観るべし。

走るのは全然ムリで、すぐにゼーゼーして倒れそうになった。だから歩いた、バイト前とバイト後に、ひたすら歩いて歩きまくった。

ストレッチも毎日やったなぁ。どんだけの効果があったのか今でも不明だけど、健康になっていく気がしてモチベーションアップ。

でもまぁ1番の効果は食い物ですよ。

とにかく豆腐を食いまくった。母ちゃんがアレンジしてくれて、豆腐サラダやら豆腐うどん、豆腐ハンバーグとかな。

ダイエットと同時に仕事も真面目にやるようにした。まずは挨拶からと思ったが、いきなり内気な性格を変えるのは難しい。

それでもな、精一杯の勇気を出してパートのおばちゃんに挨拶したら、驚いた顔して後退りしてた。俺の挨拶の攻撃力どんだけだよ。

仕事ってさ、ダラダラやってると時間を長く感じて苦痛だけど、懸命にやってると気が付いたら終わってるもんなのな。

そんでさ、誰でも出来ちゃう簡単な品だしの仕事だって、ちょっと頭を使って工夫するだけで効率が断然アップするんだよな。

それに気付いたら、ゲーム感覚みたいな気分になって仕事が楽しくなった。

パートのおばちゃんに負けねーっ!俺は品だしスター!品だしエースなんじゃ!

オラオラオラオラオラオラぁああーッ!!

おばちゃん、そんなやり方じゃ効率が悪いぜ?フフ……そんなんで俺に勝てるとでも?

無駄無駄無駄無駄無駄無駄ぁああーッ!!

何てことを考えながら脳内勝負。そんで勝利したら脳内ガッツポーズですよ、ええハイ。

効率を考えたことによる相乗効果ってヤツもあった。つか、相乗効果だらけ。

それまでは、近くで客に呼ばれても聞こえないフリをして逃げてた俺。

しかし商品位置を完全に把握した俺は、客に何の商品を聞かれても問題なし。まるで高級ホテルのボーイの如く華麗にご案内。

コミュ症でアガリ症の俺だけど、アニメやエロゲのように自信のある分野には強気になれた。それがスーパーの業務に移行した感じ。

さて、ここで気になるのは佐藤さんとの関係ってことになる。…あっ、気にならない?じゃあまぁいいか、軽く触れておくだけな。

俺に起こった変化を伝えなかったが、熱が冷めたのを感じたのか疎遠になっていった。1ヶ月後には、もうほとんど話さない状態。

それから約半年後、左遷だと噂されながら他店舗に転勤していった。アディオス佐藤!

いやいや待て待て、ちょっと待て。この半年間を佐藤さんのエピソードで飛ばしちゃいかん。ここもっと掘り下げるでしょ!

ダイエットを決行してから半年間。

半年前は身長170cm体重105kgという、圧力鍋にでも入れたくなるような俺のスペック。それがだよ、体重80kg!つまりは25kg減!

パチパチパチパチ……皆さん拍手、ここは拍手する場面ですよー。ワーイ、ワーイ。

まだまだデブからポチャに変わった程度だが、鏡に映った自分は明らかに半年前とは変わってた。なんかね、顔がシュッとした。

それまで気にしなかった髪型も、短髪にしてワックスって物をつけたりしてみた。

いいか?ワックスってのは、1週間洗ってないギトギトになった髪の油とは違うんだぞ?洗髪して綺麗な状態でつける油なんだぞ?

働く日数と時間を増やし、社員並のシフトでバイトをした。他にやることはダイエットだけだし、何より働くのが楽しかった。

更に半年が経過して俺は20才。

レジ打ちをクリア、鮮魚は苦手ながらもクリア、精肉は誘惑に負けそうになりながらもクリア。これでもう、俺に死角は無し!

いつの間にか従業員の皆さんから、優くんと親しみを込めて呼ばれるようになってた。

目標の身長170cm体重70kgの、残り10kgが落ちずに辛かった。筋トレしたら体重が増えて唖然としつつも、ソコからジワリと減少。

ダイエット開始から1年、ついに俺は目標を達成した。うぉっしゃああッ!

えっ?なに?太った豚がダイエットしたからって、痩せた豚になっただけだろうって?

うむ、そのとーり!それで正しい。

でもお前アレだぞ?どんなに不味い肉だって、腐ってるのよりは新鮮なほうが100倍マシだろ?つまりそういうことだ。

じゃあその新鮮な肉に生まれ変わって、友達やら彼女が出来たのかって?

ハハハッ愚問だな。……そんなモンが出来るわけないじゃありませんか。

繰り返すけど、性格なんて簡単に変わるもんじゃないのよね。コミュ症の俺は、痩せたって1年が経過したってコミュ症のまま。

スーパーの業務に関してだけは自信を持って話せるが、それ以外のトークになったらトークに逃げたい気分になっちまう。

つかそもそも、友達も彼女も欲しいなんて思わなかった。負け惜しみじゃねーぞ。

アニメやエロゲのキャラも、現実世界の人物も、どちらも俺とは違う世界の住人のような意識があった。俺には関係ねーみたいな。

二次元の世界からは脱出したが、三次元に興味が湧いたわけじゃない。フィギュアは三次元とか言うなよな、それは過去の俺だ。

散々ぱらシコってたエロゲには、もう全くもって性欲が向かなくなってた。

試しにエロサイトのリアル動画を見てみたが、エロいとは思うものの現実味を感じられない。これはリアルなエロゲという認識。

つまりだ、俺は二次元と三次元の時空の狭間に迷い混んだ哀れな漂流者。興味や性欲だけが異世界転生してしまったファンタジー。

でもまぁ、それで構わなかった。このスーパーマーケットこそが俺の世界なのだ。

もうダイエットという概念は無く、ウォーキングや筋トレが俺のルーティン。それ以外は暇、肥満は克服したけど、とにかく暇。

仕方ないのでシフトに関係なく、店に顔を出しては手伝ったりした。家よりも店のほうが楽しいし落ち着くんだよ、俺の世界だから。

そんな事をやってるうちに、俺はアルバイトから準社員にランクアップ。発注の一部を任されるまでになった。

これが嬉しくて楽し過ぎてヒャッハー。俺が担当してる棚は、この世界にある俺の家じゃん?まるで個人商店みたいじゃん?

値段や特売品は本部の指示で決まっちゃうのも結構あるが、その店舗独自で可能な部分も沢山あった。それを俺が決められる。

ウォーキングを兼ねて近隣のライバル店をチェックしに行ったり、特売品の陳列を研究してみたり、ポップを作成したりと大忙し。

それから数ヶ月後に始まったのが、このコロナ騒ぎだった。それと同タイミングで、店長からの推薦を受けて俺は社員に昇格。

2つの意味で、これが俺のスーパーサクセスストーリー。……ドヤ。

このセリフを言いたいがために、ここまでまさかの約6500文字も使ってしまった。

まぁ今にして思うと、この社員雇用は俺を逃がさないための手段だったのかもな。

母ちゃんは喜んでたが、お祝いしてる場合じゃないほど忙しくなった。もうヤバい、マジでヤバい、色々とヤバいことだらけ。

トイレットペーパーとかマスクとか、もう何から手をつけていいのか分からない状態。

しかも、そんなとんでもない忙しさの挙げ句に感染を恐れて辞めてしまうパートさんが出現。うぬぎゃぁぁあびぃやァアーーッ!

本部に人員を要請したり、時給を上げて募集をしたりと、こちらの手配も大忙し。

その結果、数人の学生アルバイトさんとパートの主婦さんを採用することになった。

その中の1人に、大沢陽菜(ひな)がいた。

ここでついにヒロインが登場。いや、そもそも女子の登場が初か…。これ大丈夫なんだろうか、もう7000文字になるぞ、おい。

ま、ま、まぁいいさ、読んでくれてる人もいるだろう。いる……よね?

彼女はデザイン系の専門学校に入学したばかりの18才。でも学校は始まらなくて、今なら昼夜問わずにバイトOKという期待の戦力。

身長150cmぐらいで体重は40キロを切ってるんじゃねーかな。とにかく小柄で華奢。胸なんて、たぶん俺のほうがある気する。

そんな体型の彼女だが、チョコチョコと動き回ってキビキビと仕事する働き者。しかも超絶に明るくて、いつもニコニコ笑ってる。

すぐに彼女は人気者になり、パートのおばちゃんからは「陽菜ちゃん」と親しみを込めて呼ばれるようになった。

俺は名字で呼んでたが、この世界に相応しい人物として認め、名誉ある姫騎士の称号を授与。言うまでもなく俺の脳内でだ。

店長は店内の業務よりも他の仕事が忙しくて、新人さんのトレーニングは俺がほとんど担当した。もちろん彼女も同じ。

毎日のように開店前から閉店後まで店にいた俺は、彼女が出勤した時には常に一緒。

彼女がアルバイトとして働き始めてから1ヶ月経過くらい。ちょっとした隙に休憩をしてたら控室で二人きりになった。

「…あのぉ、ちょっと聞いたんですけど、優さんてアニメ好きなんですか?」

不意にされた質問、全く予想外の質問。国会みたく、事前に質問内容を提出しとけと。

つか誰だよ教えたの!あいつか?岸谷のババアか?お?お?どーなんだ、あのババアか?

「……あ…えと、え~と……そ、そうかな、1年ぐらい前までは好きだったかな。」

逃げ場は無い。そして、彼女は何やら目を輝かせてる。キラキラ~キラキラ~。

「えーっ!今は観てないんですか?ペラペ~ラペラペ~ラハラペ~ニョとかも?」

彼女は人気の高いアニメの作品名を羅列。それはそれは凄い勢いで、俺はタジタジ。

「…い、いや、一応は押さえるトコは押さえてるよ。いま言ったのは観てるかな。」

恋愛対象として女の子キャラを見なくなっただけで、話題のアニメや続きもの、ストーリーが面白そうな作品は目を通してた。

「さすがです優さん!じゃあ優さんの今までの推しアニをぜひ教えて下さい!」

だーかーら、俺はコミュ症なんだよ!グイグイくるのやめぃ!気づけやアホ姫騎士!

この日を境に彼女と仲良くなった。いや、仲良くというか、彼女が引っ付いてくるようになった。粘着粘着ウリィィイーッ!

佐藤さんのように仕事をサボるわけじゃないから構わないんだが、何だかよく分からん。話すのが苦手な俺といて楽しいか?

以前のアニメトークなら、着眼点が違うとか、それは表面だけしか見えていないとか、マウントを奪いに攻めたかもしれない。

でももう俺は、アニメに関しては翼を失った鳥、ボールを失った大空翼、声を失った風鳴翼。水樹さん結婚おめでとうございます!

それに、知ったようにアニメ持論を語るのを恥ずかしく感じた。彼女の話題の中には俺が詳しい作品もあったが、あんまり知らないフリ。

そんなだから、彼女のマシンガンアニトークを俺は聞いてるだけ。それは、ちょっと面倒だけど、それ以上の楽しさを感じてた。

彼女の雰囲気や性格、つまりは彼女のキャラが、それを感じさせたんだと思う。

目を輝かせてイキイキと一生懸命。仕事も趣味も、彼女の一生懸命さは同じだった。

それから約1ヶ月半が経過。その日は忘れもしない、7月半ばのどっかの日。

だいぶ仕事は落ち着いて、安堵しながら店を閉めてチャリ置き場に行ったら彼女の姿。

「……優さん、ちょっといいですか?」

いくら鈍感な俺だって、彼女が俺を待っていたことくらいは察しがついた。

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